庄原から休暇村吾妻山ロッジに来る途中,モグラの博物館として有名な比和自然科学博物館がありました。あまり好きでないからと通過したのですが,クジラの化石でも有名だそうです。ということで,帰りこの博物館・地学分館を訪ねました。

 「こんな山の中になぜクジラが…」という疑問に答えてくれたのは館内の展示です。山岡隆信さんが中学生だったときに発見したヤマオカクジラの化石があるのです。その隣にはヒロセヒバクジラです。この名前のヒロセは廣瀬繁登さん,ヒバは郡名の比婆で,廣瀬さんは小学校の先生として自然史・民俗研究をされ後に「庄原化石集談会」を作られた方です。山岡さんはこの会に所属,化石少年と呼ばれた人です。
 大昔,ここが亜熱帯の海だったころ,たくさんの鯨が回遊してきていました。この頃に堆積したのが今の備北層群の下部砂岩層・是松累層。そして,この砂岩層からは鯨の化石が産出するのだそうです。ここで自分の名前が残るクジラの化石を発見した山岡さんは偉い,そんな山岡君を育てた廣瀬先生はとても偉い。そしてこんな博物館を作ったこの町の人たちもすごく偉いと思います。

 この博物館ではモグラのことはもちろん寄贈されたチョウの特別展でたくさん勉強させてもらいました。なお,ここはあの懐かしい「蝋石」の産地でもあるそうです。だれもご存じないかな。