こんばんは。
ミステリ案内の稲葉の白兎です。
松本清張ミステリを中心に
案内をしております。
とか言って、
結構、ミステリも広義に及ぶので、
マーダーミステリだの
人狼だの
ミステリーナイトだの、
挙句には高校野球だの
広げるだけ広げてしまってますが
たまには真面目に
清張ミステリの紹介を。
その名も『野盗伝奇』。
これはかなりレアもの。
かなり前から絶版というか、
すんごい昔の作品。
全集にもないやつ。
普通には手に入らない。
それを最近手に入れて
そんなに最近でもない、半年前くらい。
いつも忙しさにかまけて
ついつい後回し。
松本清張記念館に訪れるにあたって
読んでおこうと、電車の中で
必死になって読みました。
必死なんて、ウソです。
なぜなら必死にならなくても
読んで1ページ目から虜になりました。
その前に東野圭吾氏の
文庫で『超・殺人事件』という、
実に人を食った短編集を読んでました。
ほとんどが叙述トリックのような作品。
軽い。
笑ってしまう。
わざと軽いやつを車内のお供にしたわけですが、
3編も読んだら、
飽きてきて‥。
そこで『野盗伝奇』の出番。
読み始めたら
止まらない!!
さすが松本清張。
当代一の人気作家・東野圭吾を
軽く凌駕。
読みやすさは二人とも同じなのに
清張センセの作品は
本気でページをめくってしまう。
野盗伝奇‥
これは時代小説。
時は関ヶ原の戦いの後、
参勤交代が始まった頃の信濃の諏訪家の
系譜の大名に
雇われている二十歳前後の若者。
これがなかなか変わり者。
イケメンなのに無愛想で天邪鬼。
大口を叩く無鉄砲な若者。
しかし、喧嘩は強く頭がいい。
すでに家中で頭角を現しそう。
しかし、ひょんなことから藩を脱走。
しかも野盗集団の仲間になる。
なかなか小気味がいい。
この主人公の伊助のキャラが良い。
読ませる。
脇役の心理描写も鋭く、
そこは清張センセお得意の
時代小説とは言え、
普遍の人間関係の縮図がある。
さっきの『超〇〇殺人事件』とは
大違い。
松本清張はどうしてこうも
時代小説となると、
主人公が小気味がいいのだろう。
他の現代の作品だと
主人公は悪い奴か、
真面目で気が弱くて窮地に陥入るか、
どっちかなのだ。
時代小説だと主人公が
爽やかでヒーロー然としたキャラクターになるから不思議だ。
ただ、この作品にも欠点があって、
半分以上まで来ると、
結末の想像がついてしまう。
これとコレがくっついて
あれとアレがくっついて‥
最後はハッピーエンド。
ちょっと出来過ぎ。
後半は手に取るようにわかって
それが、チト不満であった。
なんて言うか
勧善懲悪?
傑作時代長編『かげろう絵図』に
似た部分があるねー。
時代小説となると
いつもの意地悪な清張節がなくなる。
主人公はどこまでも
最後は上手く行くようにできているし
悪い奴は最後は死んでしまう。
まあ、それはそれでいいんだけどね、
たまには肩の凝らない、
痛快な話も良いわけで‥
伊助がジャックと豆の木の
ジャックに思えてくる
内容を具体的に伝えられないけど、
痛快な冒険小説の一言に尽きます。
実は今日は『Dの複合』について
語るつもりでした。
タイトルと内容が全然合っていない。
しかも、そのせいか
最初はチンタラしていて嫌気がさすこと請け合い(笑)。
野盗伝奇は、
最初からトップギアで走ってます。
前者は後半、ある程度予測がつきだす。
最後はこうまとめるんだな、と。
後者は後半、いきなりのどんでん返し。
退屈な前半が嘘のようになる。
全く意外すぎる展開。
いい奴が悪くて
悪く見える人がいい人みたいな部分もある。
天晴れである。
結論。
松本清張の時代小説は、
キャラクターがイキイキとして
面白い。
入り組んだ人間関係もスリリングだ。
小説はこう書け
みたいな見本がここにはある。
ではまた。
ミステリ案内の稲葉の白兎です。
松本清張ミステリを中心に
案内をしております。
とか言って、
結構、ミステリも広義に及ぶので、
マーダーミステリだの
人狼だの
ミステリーナイトだの、
挙句には高校野球だの
広げるだけ広げてしまってますが
たまには真面目に
清張ミステリの紹介を。
その名も『野盗伝奇』。
これはかなりレアもの。
かなり前から絶版というか、
すんごい昔の作品。
全集にもないやつ。
普通には手に入らない。
それを最近手に入れて
そんなに最近でもない、半年前くらい。
いつも忙しさにかまけて
ついつい後回し。
松本清張記念館に訪れるにあたって
読んでおこうと、電車の中で
必死になって読みました。
必死なんて、ウソです。
なぜなら必死にならなくても
読んで1ページ目から虜になりました。
その前に東野圭吾氏の
文庫で『超・殺人事件』という、
実に人を食った短編集を読んでました。
ほとんどが叙述トリックのような作品。
軽い。
笑ってしまう。
わざと軽いやつを車内のお供にしたわけですが、
3編も読んだら、
飽きてきて‥。
そこで『野盗伝奇』の出番。
読み始めたら
止まらない!!
さすが松本清張。
当代一の人気作家・東野圭吾を
軽く凌駕。
読みやすさは二人とも同じなのに
清張センセの作品は
本気でページをめくってしまう。
野盗伝奇‥
これは時代小説。
時は関ヶ原の戦いの後、
参勤交代が始まった頃の信濃の諏訪家の
系譜の大名に
雇われている二十歳前後の若者。
これがなかなか変わり者。
イケメンなのに無愛想で天邪鬼。
大口を叩く無鉄砲な若者。
しかし、喧嘩は強く頭がいい。
すでに家中で頭角を現しそう。
しかし、ひょんなことから藩を脱走。
しかも野盗集団の仲間になる。
なかなか小気味がいい。
この主人公の伊助のキャラが良い。
読ませる。
脇役の心理描写も鋭く、
そこは清張センセお得意の
時代小説とは言え、
普遍の人間関係の縮図がある。
さっきの『超〇〇殺人事件』とは
大違い。
松本清張はどうしてこうも
時代小説となると、
主人公が小気味がいいのだろう。
他の現代の作品だと
主人公は悪い奴か、
真面目で気が弱くて窮地に陥入るか、
どっちかなのだ。
時代小説だと主人公が
爽やかでヒーロー然としたキャラクターになるから不思議だ。
ただ、この作品にも欠点があって、
半分以上まで来ると、
結末の想像がついてしまう。
これとコレがくっついて
あれとアレがくっついて‥
最後はハッピーエンド。
ちょっと出来過ぎ。
後半は手に取るようにわかって
それが、チト不満であった。
なんて言うか
勧善懲悪?
傑作時代長編『かげろう絵図』に
似た部分があるねー。
時代小説となると
いつもの意地悪な清張節がなくなる。
主人公はどこまでも
最後は上手く行くようにできているし
悪い奴は最後は死んでしまう。
まあ、それはそれでいいんだけどね、
たまには肩の凝らない、
痛快な話も良いわけで‥
伊助がジャックと豆の木の
ジャックに思えてくる
内容を具体的に伝えられないけど、
痛快な冒険小説の一言に尽きます。
実は今日は『Dの複合』について
語るつもりでした。
タイトルと内容が全然合っていない。
しかも、そのせいか
最初はチンタラしていて嫌気がさすこと請け合い(笑)。
野盗伝奇は、
最初からトップギアで走ってます。
前者は後半、ある程度予測がつきだす。
最後はこうまとめるんだな、と。
後者は後半、いきなりのどんでん返し。
退屈な前半が嘘のようになる。
全く意外すぎる展開。
いい奴が悪くて
悪く見える人がいい人みたいな部分もある。
天晴れである。
結論。
松本清張の時代小説は、
キャラクターがイキイキとして
面白い。
入り組んだ人間関係もスリリングだ。
小説はこう書け
みたいな見本がここにはある。
ではまた。
