こんばんは。
ミステリ案内の稲葉の白兎です。
前回、ご紹介した高校野球ミステリー
佐野洋原作
「盗まれた嘘」
佐野洋さん
昔の人
昔からいる人です。
「華やかな死体」で賞を取った人
あんまり長編を書いてるイメージはないです。
笹沢佐保と混乱した時期がありました。
甲子園ミステリー
ザックリ言うと
探偵の元に有名作家から依頼が来ます。
『母校がセンバツ出場に選ばれたのだが
スキャンダルで出場辞退に追い込まれそうだ。
部員が婦女暴行を働いたらしいが、濡れ衣かもしれない。
よーく調べて、是非ともスキャンダルから救って欲しい』
上から読んでも下から読んでも丹下元太という主人公は、早速、被害者の美容師に話を聞きに行きます。
この女性美容師がT高校の部員に暴行されたと
週刊誌にタレ込んだのです。
被害者は、相手が有名人、社会的地位があると
なにかと週刊誌にタレコミますよね。
相手は甲子園出場が決まっている選手
もし、これがウソだったら
母校のT高校のセンバツは辞退を回避できるかもしれません。
いや、ほぼウソでしょう。(笑)
では、なぜそんなウソを?
示談金目当ての恐喝?
ライバル校に頼まれた?
そしていきなり殺人事件。
その美容師が殺されてしまいました。
ところで春のセンバツと夏の選手権大会。
この二つの甲子園大会の違いを知らない人が多いです。
あなた、わかりますか?
春と夏
季節が違うだけだと思ってる人が多いですね。
ズバリ主催者が違います!!
毎日新聞が春
朝日新聞が夏
なので、全く別の大会なんです。
コロナでセンバツ大会が中止になった時、
どこかの元野球選手だか、大御所が
「夏の甲子園に、彼らを同時に出そう」と
夢の提案をなさいました。
それはそうなったらいいです。
でも夢です。
実現は有り得ない。
なぜなら主催者が違うんです。
完全に別なんです。
春と夏が混ざることはないです。
どれだけ違うかと言うと、
地方大会からして違います。
センバツは秋の新人戦が実質の直結大会です。
各都道府県で試合を行い、
上位校が
地方ブロック大会を戦います。
それでさらに上位校が甲子園に選ばれる可能性が高くなります。
変な話、県で2位だったとしても
地方大会で優勝すれば、
甲子園に出られる
甲子園では、センバツの場合
前年準優勝校も変換にやってくる。
夏は優勝校だけ。
春は入場行進曲が毎年変わる。前年度のヒット曲が選ばれます。
開会式で選手宣誓の後、
花火を上げ、鳩や風船を飛ばします。
入場行進も違います。
春はボーイスカウトがプラカードを持ちます。
センバツは夏の人気に遅れをとるまいと
いろいろ特色を出しています。
本題に戻って「盗まれた嘘」。
何県かは忘れたけど(ごめん)架空の達部高校。
たつべ高校。
優勝して代表校に選ばれたのにスキャンダル。
探偵が奔走するけど
殺人事件が起きたり
奔走するほどに甲子園は遠のいていく
春と夏の甲子園はいろいろ違うけど
ルール以外で全く同じ箇所があります。
これが「盗まれた嘘」殺人事件の本編のキモ。
それは校歌です。
試合終了直後に勝ったチームが歌います。
コレなんです。
殺人事件の動機が!!
犯人は校歌を歌われてはマズイ人なんです。
真相は、
T高校に
その校歌を歌って欲しくなかった。
全国でこの校歌が流れたら
その犯人は破滅するんです。
だから、T高校の甲子園の出場を阻止しようと
暴行事件をでっち上げました。
美容師は口封じに殺されましたし、
これが前半。
中盤はもっとややこしくなります。
馬鹿ミスなので、(失礼!)読むのは簡単。
なんか赤川次郎風。
挿絵も非常にライト。
光文社のカッパノベルスです。
今、探してもないですよ
初版から30年は経過してますし。
そのノベルスが出た当時は勝った学校しか
歌えませんでした。
今は両チームが最初に歌ってしまいますね。
校歌を歌われては困る人間。
わかりますよね?
皆までは言いませんよ。
ただ、このネタを言わないとこの小説の真髄が
‥わかってもらえないかと。
私も驚きました。
てか、お前かよ!
ふざけるなー
哀れな達部の野球部員。
果たして甲子園に行けるのか
殺人事件まで起きたから、
犯人関係者でなくても、
世間を騒がしたから無理っぽいですね。
コロナ騒動と一緒。
全然無実なのに
甲子園に行けない!!
ある年を境に
センバツ出場辞退する学校は
なくなりましたね。
スキャンダルが起きても
知らん顔して甲子園に出ています。
元阪神タイガースの江本孟紀さんは
多方面でご活躍ですが
高知商業出身なのですが
甲子園が決まっていたにもかかわらず
サッカー部員のスキャンダルで出場辞退し、
甲子園に出られませんでした。
ちなみに松本清張センセの本には
野球はもとよりスポーツミステリーは
ありません。