こんばんは。

ミステリ案内の稲葉の白兎です。

先日、江戸川乱歩の「死の十字路」は通俗的で
なかなか面白かったと書きました。

十字路はタイトルもいいですね。
2つのグループが銀座の交差点で出会います。

と言っても、お互いがそれを
認識していません。

自動車を媒介にしただけで、
お互いは全く知り合っていないというのがミソ。

主人公の殺人者・伊勢省吾には
すでに運命のカウントダウンが始まっていました。

2つのグループ
不倫カップルと普通の婚約者同士。

男女4人はこの先
正反対の人生を辿ることになります。

それは残酷すぎるほどでした。


ジュニア用の「十字路」は

婚約者カップルは、あくまでも

彼らの兄が、喧嘩した夜を境に

行方不明になり、私立探偵に捜索を依頼。


こちらはその後めでたしめでたし。


まさか、見知らぬ車に乗り込んで、

よそに運ばれたなんて知る由もありません。


それにしてもなんて運の悪い主人公でしょう。


落ち着け落ち着けと言いながら

車で事故を起こすし。


第一、


座席を離れる時はドアに鍵をかけましょうよ。


見知らぬ男が車内で死んでいるわ、

被害者の靴をなくすわ

目撃者がいるわ


どんどん悪い方向に進んで


最悪の選択をしてしまいます。


この小説なら、

乱歩に抵抗のある人も読みやすく

楽しめると思います。


そうそう

東野圭吾


今朝、車内広告を見たら

新刊のお知らせに「作家生活35年」とありました。


35年というのは江戸川乱歩賞を取ってからでしょうか?


今や押しも押されもせぬ

本格推理の中では

トップの人気を誇ります。


私が初めて東野圭吾の小説を読んだのは

ミステリ月刊紙の連載です。


人気絶頂の大沢在昌を含め、

ベテランの森村誠一、

新人の小杉健治、

岡嶋二人が独立した井上夢人、

まだ存命だった笹沢佐保など

錚々たる顔ぶれのミステリ雑誌でした。

二階堂黎人、乃南アサなどもいましたね。


その中では地味な部類の

東野圭吾。映画やテレビなんてまだまだ先の話。


ああ、乱歩賞を取った人ぐらいの認識。


「昔、僕が死んだ家」の連載が始まったばかり。

うわー、これ、めっちゃ面白い🤣


張り切って雑誌をチョキチョキしました。


一年間チョキチョキしたら、

文庫本一冊分でしょうか。


他にも井上夢人、笹沢佐保や二階堂黎人もチョキチョキ。


ついに「昔僕が‥」は全シリーズ、ホチキスで留めた手製の本が出来上がりました。


詳しい内容は忘れてしまいましたが

イラストもよかったですね。


あれから、だんだん東野圭吾作品が

連ドラに登場するようになりました。

それも木村拓哉や中山美穂です。


自分の目に狂いはなかった


ってところですかね。


「昔、僕が死んだ家」は映像化になっていません。

ミステリというより、

ホラーに近いかな?


あまりにメジャーになりすぎて

手に取ることもなくなりました。


人気が出ると

本格ミステリ魂を忘れる人がいるので。


西村京太郎は、何であんな湯けむりの駄作ばかり書くのか

わかりませんが、


本格が描きにくいジャンルであるのは確かですね。

若い時にしか書けない、

初期のクオリティーを超えられない


など、多くの人が

ホラー、時代小説、歴史小説に走ります。


東野圭吾は、そんな中、

クオリティーを保っているほうなのではないでしょうか。