こんばんは。
稲葉の白兎です。
ミステリー評論家。
批評も好きだが
普通にミステリー愛好家。
水と油のような清張ミステリと横溝ミステリー。
共通点がない。
血筋の話、旧弊な村の話、
見立ての連続殺人。
犯人は女だったりします。
女なのに殺人をいっぱいします。
無理だろ、それ。
体力的にも精神的にも。
清張さんは、リアルなミステリー作家。
ヘンテコな村の因習とか、
旧家のスキャンダルとか、
相続とか
童謡殺人とか
読んだことないですねえ。
それだけ横溝正史の個性は際立っていたということかな。
優劣ではないので。
でも八つ墓村、松本清張の短編に
ドキュメントとして、
津山30人殺しの話がありました。
「駆け抜ける猟銃」
多治見要蔵の猟銃ズドンはすごい。
妾の女が愛人と駆け落ちして逃げ
逃げられた要蔵が怒り狂って
怒りの矛先が村人に向いたという‥
老若男女の区別なく
片っ端からズドン!!
赤ん坊でさえも。
これは本当にあった話だそうで、
津山の孤独な青年が
何かを逆恨みして、
村人を片っ端から殺害してまわりました。
電気や電話のない時代だからこそできた犯罪。
銃の乱射事件もそうですが
こういう場合、犯人って必ず自分も殺すんですよね。
だから動機が不明になります。
落武者の祟りは横溝正史の創作。
尼子義久の残党が
毛利の落武者狩りにあい、
祭りにこと寄せ騙し討ち。
この尼子の恨みが恐ろしい。
騙し討ちのリーダーは
その後発狂して自殺?
多治見家はその庄屋の子孫。
驚いたのは尼子という戦国武将が本当にいたこと。
アマコ。
毛利元就は歴史の授業では
新幹線のごとく
名前だけ出てきて駆け抜けました。
尼子とか小早川とか宇喜多とか
中国地方の大名は
全く出てきませんでした。
黒田官兵衛もそうですね。
大河ドラマで尼子勝久と義久は
出てきました。
緒形拳がやってたような‥
八つ墓村の良さはそのホラー性にもありますね。
松本清張は、ホラーというジャンルは特にもうけてなかったですが、
短編の半分くらいは結末が
ホラーに近いです。
エグいんですわ。
「記念に」とか
「月」とか。
素で怖い。
呪いとか祟りとかそういうフレーズ使うと
逆にわざとらしくて怖くない。
松本清張センセもなかなかのホラーの名手です