こんばんは。

ミステリ案内人・稲葉の白兎です。

楽しみにしていた建国記念日の
八甲田山シネマコンサート。

日本映画の最高峰とも言うべき

橋本忍監督の

「八甲田山」。

高倉健主演。

健さんが亡くなって以来、
地上波で放映されることはなく、

DVDの📀鑑賞から10年近く経ったでしょうか?

たまたまブログで雪中行軍八甲田山の記事を書いていたら、
渋谷のオーチャードホールにて、

その新田次郎原作のあの名作が
生演奏で上映されるという情報が入りまして、
ソッコーで申し込みました。

私としてはソッコーでしたが、
発売開始からずいぶんと経っていたので、
席は3階となってしまいました。

北王子欣也と秋吉久美子による
トークショーつき。

生の彼らの当時のエピソードが披露されました。

最も、入場したら
すでにトークショーは開始されていました😅💦

過酷なロケだったらしいです。

高倉班がどーの、
待ち時間がどーの、

凍傷予防に顔に塗るワックスを用意したらしいですが、

落としたらすぐに凍って使えなかったとか。

秋吉さんの話は全く聞こえず、
というのも、
トイレに入ってたので(笑)

やばい、始まってる!
と思ったのですが、席に着く頃にはすでに北王子欣也氏の話に。

シネマコンサート

映画はそのまま
セリフもそのままで、

音楽だけがフルオーケストラの生演奏でした。

映画とコンサートが合体してるのです。

主題曲だけかと思ったら
全てのBGMがオーケストラによる演奏になってました。

よく画面とズレないなあと
指揮者の人に感心したりして。

オーケストラが気になったのも最初のうちだけで、
途中休憩の後、
後半は

画面に集中してしまい、
全く演奏の方は見なくなりました。

千人もの人間と一つの映画を共有するというのは、
今時珍しい体験でした。

それにしても
すでにテレビ放映も含めて数回は、
見ているはずですが、

なんか、
違和感を感じました。

話の展開が異様に早い
セリフが省略されている
時系列が記憶と違う

これ、おそらくただの勘違いだと思いますが、

とにかく、スピード感がハンパなかった。
かなり長い映画にもかかわらず、

2時間くらいに感じました。

え、もう出発?

え、もう吹雪?

え、もう翌日?

え、もう村山伍長が離脱?

え、もう江藤伍長が救出?

え、もうロープウェイ?

え、もうクレジット⁈

何でこんなに早く感じたのでしょうか?

おそらく
何回か見たせいで

次の展開が分かるから。


その割に
 大竹まことが発狂して死ぬシーンがなかなか始まらなかった。

全部見覚えのあるシーンにも関わらず
セリフ回しが
ものすごく早く感じました。

「天は我々を‥」もあっけなく

あれ、ここで言うとこだっけ?

感動がなかった。
八方手を尽くした感がなかった

神田大尉が可哀想と思えず。

事実上のリーダーが山田少佐と加山雄三の倉田大尉に見えたからですかね。

山田少佐が出しゃばって
行軍をしっちゃかめっちゃかにするのは
知ってましたが

村長の山案内をアホ少佐が高飛車に断った時点で

神田大尉、終わったな

って感じでした。

もう、筋とか結果とかわかってるし、
ストーリーについて
今更、感情的なことは湧いて出なかつたです。

山田少佐も、それほど憎らしい言うわけでもなく

涼しい顔の弘前の徳島大尉が
特に立派だなぁと言うわけでもなく

遭難に気づかない青森本部の間抜けさも、
救助隊を出した時のじれったさも

そんなにイライラしなかった。

唯一、エモーショナルになったのは、
徳島隊の斎藤伍長が神田隊の遭難現場を通りかかり、弟の死体を発見し、
号泣したとき。

前田吟ですね。
すごい演技です。

これは物語を盛り上げるための全くの架空の人物です。

今回、注目したのは景色と役者。

高倉健の子供時代の回想シーンを演じる子役が、
高倉健にソックリ!

回想シーンはDVDではじれったく冗長に感じたのに、

ホールの大画面では
あっという間。カラーシーンなので見ていて楽しいです。

緒形拳もお花畑の回想シーンが2回出てきます。

妄想と現実の落差をうまく見せています。

緒形拳の演技力はすごい。目だけでよくもあれだけ表現できるな、と。

彼を慕う兵卒の下條アトムも
庶民的な、下っ端の
とぼけたいい味が出ていました。

妙になごませてくれます。

ダメダメ上官の多い中で、
彼らの存在は
感情移入がしやすく共感ができますね。

「田代温泉で一杯のはずがコレですか」と

納得いかない顔で

出発当夜、焚き火で焼いた薄べったいパンみたいなのをかじって言います。

これは悲劇のほんの序の口だったんですが。



それにしても
この大河ドラマもビックリな豪華キャスト!

高倉健、北王子欣也は別にしても

丹羽哲郎、新劇の島田正吾、
大滝秀治、加藤嘉、神山繁

加山雄三、森田健作
前田吟、緒形拳
小林桂樹

藤岡琢也、新克利、
三國連太郎
下條アトム
菅井きん
栗原小巻
加賀まりこ
秋吉久美子

そして、エキストラに毛の生えた大竹まこと。



暴風雪の音がすごい!
特に徳島隊の最後の難所・八甲田越え

地吹雪?

聞いてるだけで凍えてしまいそう。

新克利演じる江藤伍長は、
数少ない八甲田山の生き残りで、

靴に唐辛子を入れ、
足は新聞紙で巻いたせいか、

凍死を免れています。

緒形拳の村山伍長に教えられて酒保に
唐辛子と新聞を買いに行くシーンが
伏線として出てました。

この人が頑張って
北王子欣也の神田に頼まれて
田茂木野までひたすら歩いて行ったお陰で
救助隊の指標になりました。

この人、当時22歳だったんですね。

将校を除くと

軽くても片足、片手を無くした人ばかり。
そのおかげで戦争に行かずに済みました。
戦争に行った人は全員死んでいるので

なんだかなあ

五体満足で生還できた人は
戦争に行かされてるとは。