こんばんは。

稲葉の白兎です。

私がキムタクの単発ドラマ「教場」
の特に原作を気に入った理由は

ひとえにそのハンパない雑学にあります。

何も何を混ぜると毒ガスが発生するというネタ。

元は警察学校内でトイレ用洗剤と
入浴剤がなくなったところから、
風間公親は、

即、誰かがその化学反応の知識を知った上で
その毒ガスを発生させるべく盗んだ

と推理。

普通はこの二つをそんなことには結びつけませんが
そこはベテラン教官の風間公親。

物騒なことに使われそうだとカンが働くわけです。

化学知識といえば

名作「Yの悲劇」もそうです。

毒物や薬品がこれでもかというほど出てきます。

それは、この家の主人がヨーク・ハッターという一流の化学者だからです。

最初に使われるのがストリキニーネ

それから
塩化第二水銀

硫酸
塩酸
などの元素記号も出てきます。

硫化水素
ペルーバルサム
フイゾスチグミン

それからYの悲劇と瓜二つとも言うべき
高木彬光の「能面殺人事件」。

なぜなら、これの舞台も一流の化学者の
屋敷だからです。

亜鉛と硫酸で水素を発生させる!!

理系の人ならこんな当たり前な知識でさえ、
「へえ」と感心します。

なぜ水素を発生させる必要があるのかですって?
それはもちろん密室トリックに必要だからです。

でもここは、重要な箇所ではないのでご安心を。

化学者の家というのは薬品が沢山ありまして
殺人を行おうという犯人にとつては
便利な屋敷です(笑)。

探偵は、容疑者の部屋から
実験室で盗んだと思われる亜鉛と硫酸の瓶が出てきたので、
そういったトリックを思い浮かべたのです。
真相は全く違うのでご安心を。

この能面殺人事件を書いた高木彬光という人は
やはり、というか、専門は工学。
非常にアタマいいです。

「能面」の雑学もハンパない!!

化学関係のみならず
文系にも及びます。

シェイクスピアのベニスの商人の解説が入ります。

特にわたくしめが気に入った雑学は、
どれも気に入っているのですが、

速記。

私は速記というものをこの作品において
初めて知りました。

早く書くテクニックです。
新聞記者の必須科目かもしれません。

中根式
早稲田式の
二つがあるようです。

マニアックだ〜〜。

本作品に登場するのは中根式らしいけど、
そんなことはどうでもよく、

とにかく
犯人は速記文字を知っている人物!!

この家には、8人が住んでいるのですが
その中で速記が読める人が4人もいたのです!

新聞記者でもないのに。
その確率たるや、私は突っ込まずにいられません。

しかも探偵までもが速記が読めて書ける人でした。

そんなバカな。

探偵や犯人が速記を駆使する話。

速記が読めるかどうかを見るために
探偵が考えたのが

「次の犠牲者は〇〇」とさりげなく本人の前で
走り書きします。

無反応の人もいれば
顔色を変えて怒り出す人もいました。

話は逸れましたが、
私は、
ミステリで得られる小知識というのが好きなのです。

鮎川哲也の鉄道ミステリの短編に
平家の壇ノ浦祭りが
壇ノ浦で毎年行われるという何気ない前置きの小知識が出てきて、
地味に嬉しかつたです。(笑)

松本清張の
高速道路で切符を切る年配の職員もそうです。
「彩り河」だったかな。

江戸川乱歩の怪奇小説があまり
好きでもないのは、
そこです。

雑学が少ない。

陰獣とか、人間椅子とか、
面白いとは思いますが、何かが足りない。

ミステリを読む楽しみの一つが
そういった引き出しが増えること。

花の色に緑はない。
赤、青、黄色と三色全部揃う花はない。

これもミステリに出てきました。

でもある時、緑色のアジサイを見てしまって。

緑色のアジサイってありますよね?