こんばんは。
ミステリ案内の稲葉の白兎です。
松本清張氏のベストワンは何か?
おそらく「砂の器」で異論はないかと。
映画も原作を超えて
語り継がれる名作になってますし、
カメダから始まる手がかりを元に
犯人に収束していくストーリーは
ミステリの王道と言えます。
ただ、ストーリーとしては面白いけど、
欠点は、
読者が主人公の刑事と同じ手がかりを
手に入れたとしても、
犯人にたどり着けない。
推理という点で弱いかなと思います。
トリック探し
犯人探し
動機探し
という点で間違いなく、
松本清張の中では傑作ですけども。
犯人当ての本格推理モノで
最高傑作と思えるものは、
エラリー・クイーンの
「Yの悲劇」でしょうね。
横溝正史の「犬神家の一族」の
アメリカ版みたいな
ドロドロお屋敷モノで、
「Xの悲劇」もそうですが
方程式のように鮮やかに
ロジックで犯人を推理します。
Xの悲劇も
意外性やロジックで双璧でありますが、
Yの悲劇のほうが
おどろおどろしい日本風好みが
混ざっているので
こちらに軍配が上がりそうです。
タイトルも
ストーリーにめちゃくちゃフィットしてるので、
この点も得点が高いです。
雰囲気
小道具
探偵の魅力
ただ、
犯人当てという観点では
必ずしも難しいわけではありません。
2割ぐらいの人は当てることができると考えます。
犯人当ての観点から言えば
アガサ・クリスティの
「そして誰もいなくなった」は、
極めて難しいと思います。
ふつうに無理ですね。
なぜ犯人が当てられないのか?
それは、犯人を当てろ
というふうな作りにはなってないので
警察が出てきませんし
論理だてて推理をする
証拠を探すことがありません
被害者がいるので
当然、加害者はいるわけです。
虚を突く形で犯人が示されますが
読者にとって
かなりのサプライズになるはずです。
私は初読の頃、
最初かなり意気込みましたが
後半から
ストーリーを追うのに精一杯で
犯人を当てるとか
そういう余裕はありませんでした。
この作品は
ほんと、完全無欠です。
欠点が見当たりません。
長すぎない。むしろ短い
読みやすい。
盛り上がるサスペンス
全ての推理作家のお手本
これを超える作品はないですね。
いきなりハッピーエンド。
この作品、この作者
天才すぎるやろ?
「Yの悲劇」
「そして誰もいなくなった」
これを読んでない人は
人生、100倍損してると思ってください。
(笑)
どちらも肝は犯人当てではなく
サスペンスです。
