こんばんは。
光文社文庫です。
松本清張をはじめとするミステリ案内の
稲葉の白兎です。
松本清張‥
久々に新作を読みました。
新作と言っても
初読という意味です。
もちろん。
「地の指」は長らく絶版になっていて
手に入らなかったですからね。
光文社文庫です。
前回も書きましたが、
「上巻」の途中で、
ずいぶん「つまらない」と感じました。
貫井徳郎の暗いけど面白いミステリを
読んだ直後ということもあります。
貫井徳郎は一種のジェットコースター小説
ですからね。
結末を除けば
ほぼ退屈知らず。
「地の指」は、
アリンコが
わっせわっせと玉を転がしてる感じ（笑）。
相変わらず読みやすいんですけど。
最初の出だしも
バー「クラウゼン」のホステスが
出てきたりなんかして
センセおとくいの水商売シーンが
早くも炸裂！
水商売といえば
タクシー運転手もその範疇ですね。
実はこの冒頭に出てくるタクシー運転手こそ
上巻を引っ張る主人公。
彼の目線や心情が描かれてますからね。
でもこいつ、ワルなんですよ。（笑）
「クラウゼン」で乗せた客の
ふとした不可解な行動から
犯罪の匂いを嗅ぎつけ
ゆすりを始めるという‥
あー、ろくな結末が待っていないな
早い将来、センセに切られてしまうこと
間違いなし。
それにしても
最初の出だしとうらはらに
地味なストーリーなんですわ。
精神病院に絡む都庁の役人
怪しい事務長
業界紙のやり手記者の死
さては「目の壁」みたいな新進気鋭の
トリックを期待したんですが
全体的に「目の壁」よりもずっと鈍い小説。
出てくる人は同じ
山中というイケメンがちょっと「おっ」という程度で
ストーリーに動きがない。
女性は絡んでくるけども
妙子にしても
マユミにしても
キャラクター描写に乏しくて
殆ど女という記号！！
気になるのが
三上運転手らの質問に関係者が
さして怪しみや警戒もせず
個人情報をベラベラ喋る。
今じゃあり得ないけど。
キャラクターが希薄。
いとも簡単に関係者が
殺人をしてしまう
動機が大事！
なんて言ってたセンセがどの口で
登場人物に殺人を起こさせるんですか。
最初の死体、
ギョーカイ紙のダニ記者が死ぬのは
当然だとして、
その先の殺人は、
衝動性のものを一件除くと
する必要あったかな？
というものばかり。
登場人物に共感できないし、
唯一のちょいワルタクシー運転手は、
ちょっと残念なヒトだし。
諦めが悪い。
イケメン山中一郎は、
心情が見えなさすぎ。
精神病院の経営で
とんでもないモノが出てくるかとも思ったけども
全くそっちはなし。
タイトルのようにすべてが地味すぎる。
唯一、下巻に1箇所だけ
サプライズがあります。
「見えないグリーン」という海外の本格古典が
ありましたが、
要はそういうこと。
タクシー運転手も見えないけど、
もう一人、
見えない人がいます。