こんばんは。

ミステリ案内・稲葉の白兎です。

土曜日は、橋本のアパホテルに泊まりました。

用事があってのことですが。

橋本は都営新宿線の終点です。

とんでもない田舎かと思いきや
都会でした。

ホテルの目の前が「カラオケファンタジー🌷」

これは行かないわけにはいきませんね。

シングルの割には広かったです。

例えば、この部屋が
赤坂プリンスのシングルと言っても、

窓からの景色さえ見なければ

変わらないんじゃないかと思うくらい、
広かったです。

いわゆる圧迫感というものがなかった。

さて、表題。

ミステリファンの端くれとして、
金田一少年の事件簿は、

本格ミステリの漫画です。
もう、ガチな犯人探し。

容疑者が老若男女数名。

高校生用のマンガなので、
容疑者の集団が若い人ばかりということも
あります。

犯罪や事件、
推理はバラエティに富んでますが、

動機がイマイチなんですよね。

復讐がほとんど。

マンガという軽さもありますが、
復讐の動機が、取ってつけたようなものばかり。

乱暴なことを言うと、
動機は、どーでもいい感じ。
無理くりこしらえた感じ。

意外性はなし。

つまり、推理やその過程に重点が置かれ、

犯人の葛藤、準備、心理‥があまり見えてこない。


トリックありき。

この前の台風で、関東に深刻な被害が出たばかりですが、
水上勉の「飢餓海峡」は、
まさに台風の日に犯罪が行われました。

青函連絡船・洞爺丸が沈没。

しかし、死んだ乗客の数が2名合いません。

台風のドサクサに紛れて
強盗殺人が行われ、
3人の犯人が仲間割れを起こし、
その仲間内で殺された人数がその差異なのでした。

1人生き残った犯人は、
大金を手にして逃げます。

たまたまゆきずりに知り合った女性に、
身の上に同情した犯人がその大金の何割かを渡します。

その女性は、
そのお金で借金を返し、父の手術代を払います。

そして、片時も
この見知らぬ男への恩を忘れませんでした。

しかし、ですねえ。
男のほうでは、そうでもなかったみたいです。

台風の時に手に入れた大金のことは、
殺人を犯したということもあり、
忌まわしい過去でしかありませんでした。

男はその大金をもとに
実業家として成功していました。

そして、たまたま新聞に顔が乗って
気がついた、例の女性が
懐かしさのあまり会いに来てしまいました。

犯罪がバレる、
バラされる
と危惧した男は、

会いに来た女を殺してしまいます。

これって
松本清張の「砂の器」っぽいですね。

断ち切ったはずの忌まわしい過去を知る人物が
ノコノコと会いに来る。

社会的破滅を危惧して
その過去を知る人物を無情にも抹殺する。

社会派推理ものは
殺人の動機が過去を消すためというのが
多いですね。

つまり、犯人の心理に
重きを置いているわけです。

一方、
本格ミステリの殺人の動機は、
納得できるようなできないような、
取ってつけたような動機が多いですね。

ドイツとフランスにまたがる
大河推理「人狼城の恐怖」の動機も、

最初は
動機が分からずじまいで、最大の謎でしたが

判明してからも、
今一つ納得できませんでした。

動機の割に、
やることが大げさ過ぎないか?

そこまでする必要性があるかな?

殺人のための殺人と言えなくもないです。

でも
飢餓海峡や砂の器では、

むしろ、不用意にノコノコと犯人に
会いに来る、被害者の軽卒さこそが
罪だと思いました。

温度差が悲劇なわけですね。

相手の迷惑を考えない。

もちろん、殺人はよくありませんけども。(笑)



本格ミステリは
所詮、推理クイズ
推理パズルですから、

動機は取ってつけたようなモノになります。

いつもいつも復讐じゃ、
単純すぎます。

江戸川乱歩の本格モノも、
ほとんどが復讐ものでしたね。

暗黒星、呪いの指紋、緑衣の鬼、
吸血鬼、魔術師‥。

そして、
復讐なのに
あまり犯人に同情できない‥。
(´-ω-`)


復讐なら、
正々堂々とやらんかい!!