こんばんは。
ミステリ案内の稲葉の白兎です。
台風、ご無事で何よりです。
平和を噛み噛みしめつつ
いつもどおりにミステリの案内をしていきます。
種類が同じだと普通にそうなりますが(笑)。
双子ミステリの話。
「八つ墓村」の双子の老婆
「三角館‥」の双子の老人
「人狼城‥」は双子の城ですが、
ドイツにあるのが銀の狼城。
フランスにあるのが青の狼城。
双子と言うくらいだから、
外観はもちろん
内部もほぼ同じ造り。
二階堂黎人「人狼城の恐怖」は、
なんと4冊から成る世界一長いミステリー。
ドイツ編
フランス編
は、それぞれの城で起こる血みどろの殺人劇。
事件が起きるだけで解決はされません。
舞台は急に日本に変わり、
探偵・二階堂蘭子登場。
3冊目は日本編?
そして、日本の名探偵は
双子の城で起きた事件を解決するべく、
再びヨーロッパの人狼城へ。
これが4冊目。
さて、実際に双子の姉妹が出てきます。
双子は老婆で、ジプシー占い師。
ドイツにいるのがアンダールーシア。
フランスに居るのがヒルデガルド。
この2人は、人狼城には行きませんが、
大変重大な役割があります。
ドイツ編は懸賞旅行に当たった10人がドイツ観光をします。
テオドールという若者が、ドイツ観光の途中で、
アンダールーシアという占い師に出会います。
そこで奇妙なアドバイスをもらいます。
何か危険なコトがあったら、この薬を飲みなさい💊。
えーーーーー🤨
ですよね?
テオドールは一笑にふさずに
後生大事に薬をしまいます。
最後の観光地・銀の狼城では、地獄が待ち構えていました。
謎の殺人鬼に城塔に追い詰められ、
あわや、一巻の終わりという時に薬を飲みます。
一方、フランスはドイツとの国境に近いストラスブールが舞台。
主人公はローラントは、若い弁護士。
彼は、一流の人間しか入れない会員制の「アルザス独立サロン」の会員で、
スポンサーである人狼城の持ち主・
シユライヒヤー伯爵の表敬訪問のメンバー7人のうちの1人に選ばれます。
ローラントには婚約者がいて、
そのローズという娘の祖母がヒルデガルドというジプシー占い師。
的中率がものすごいと評判で、
そのおかげで良い暮らしをしています。
ローラントは表敬訪問の前に、
サロモン警部という男性から、
秘密の依頼を受けます。
今度のメンバーにナチスの開発した兵士「人狼」
が紛れていると打ち明けます。
サロモン警部は筋金入りのナチスハンターで、
是非ともその「人狼」を取っ捕まえたいと言います。
しかし、サロモン警部はアルザス独立サロンの会員ではありません。会の規定はやかましく、
本物のアルザス人でないと入会できないのです。
アルザスは小さな都市でフランス領です。
でも戦争でドイツに占領され、フランス人とは言い切れない複雑な立場です。
婚約者の祖母・ヒルデガルドはナチスに無理やり協力させられ、
アストラル兵士の開発に関与します。
眠ったり疲れたりしない不死身の兵士を作るつもりが、
失敗したあげくにできたのが「人狼」。
「人狼」が死んだばかりの屍体に取り憑くと、
死者はよみがえります。
そして死体が古くなると、
また次の体を求めて、殺人を行います。
オカルトめいてますが、人狼ルールは結構大事だったりします。
そのルールを把握しないと、
誰が人狼か、見破れないからです。
半信半疑だったローラントでしたが、
いざ、青の狼城へ、独立サロンのメンバーたちと出かけてみると、
不思議かつ不可解な出来事が次から次へと起こり、
彼自身、殺人鬼に狙われたり、
大変な目に遭います。
そして、人狼は本当にいるんだな、と思い知らされます。
ヒルデガルドの占いでは、
ローラントは人狼城で命を落とす、という事になっています。
とにかく、
この2人の老婆は双子で、
ナチスの人狼開発に多大な貢献・関与をしております。
性格も似たり寄ったりで、
運命に関してシビアな目を持っています。
それぞれの城で事件が起きた後、
しばらくして、
ドイツ観光団と、
フランスの高級会員サロンのメンバーが
失踪したと報道されます。
予定の日程を過ぎても戻らなかったと。
2つのグループの共通項は、
行き先が「人狼城」だったということ。
双子の老婆は
事件の関係者として、
捜索されますが、
彼女たちの行方も杳として知れませんでした。
それらのことは、
「探偵編」日本編以降のことです。
ローラントとテオドール、
この2人の青年は
性格も環境も違う全然別の人物ですが、
似ています。
若いこと。
男性で比較的良心的であること。
人狼城で人の世話をしたあげく、
酷い目にあうこと。
大怪我をすること。
最期は城塔に追い詰められること。
私の苦手なカタカナの名前が満載ですが、
フランス編は、
メンバーの人数がドイツより少なく、
キャラがすぐ頭に入って混乱しませんでした。
どちらかと言うと、どちらも城側のスタッフのメンバーの方が、わかりづらかつたです。
招待客ほどキャラが立っていないせいでしようか。
城には出かけていないけど、
アストラル兵士のレクチャーをした「リケ博士」のキャラが全作品を通じて強烈でしたね。
尋常でないというか、
頭がおかしいというか、
面白い人でしたけど。
八つ墓村で言うと、
濃茶の尼みたいです。
むろん、双子のジプシーも。
同時に出てこないのが残念でしたが。
