こんばんは。

ミステリ案内の稲葉の白兎です。

佳境に近づいてるスクラッチアート数点。



上のアルファベットの旗が削れれば終了。


天秤座のイラスト。
こちらは塗り絵に近いスクラッチアート。
作業が進んでるの、わかりますか?

削ると何色が出てくるかわかりません。

やる順番は自由ですが、
私は細かいところは後回し。

お城の窓が、
めんどくさいです。

さて、表題。

高木彬光氏の「横浜をつくった男」。

主人公は2代目高島嘉右衛門。

時は幕末。天保年間から始まります。

活躍したのは明治時代すべて。

元々は普請屋のせがれですが、
東北の鉱山開発をします。

ある時期、鉱山事業が暗礁に乗り上げて
元の普請屋に戻ります。

ささいなキッカケで投獄。

6年間、地獄の投獄生活の果て
命からがら出獄。

その後は水を得た魚のように普請稼業が
ことごとく上手くいき、
万両分限者に。

水野南北の占いの言った通りの人生。

やがて伊藤博文とパイプを持ち
鉄道事業を行います。

ただの政商ではなく
国家国民のためになることしかしてません。

稲葉の白兎めが気になっているのは
そのようなもの当たり前の偉人武勇伝の部分ではありません。

易者としての嘉右衛門の描写が
興味深い。

著者の高木彬光は
占いに関してはひとかどの見識ありです。

嘉右衛門は問題にぶち当たるたびに、
あるいは何か引っかかることがあると
必ず筮竹を取り出して 
卦を見ます。

易には詳しくないので、
卦が出ても
意味がわからないのですが、

タロットカードのように
卦を読み込む
解釈するシーンが面白いです。

うーん、何の本だ?(笑)

その出た占いに対して
すべてが納得できてるものは少なくなく、
解釈に苦しむことも。

人のを見る場面もたくさんあります。
めっちゃ不幸な
凶の目も出ます。

佐賀の江藤新平。

暗殺されに行った伊藤博文。

小説上とは言え
外れたものはありません。

最終的には
占いを信じ
死中に活路を見いだします。

作者自身も
占い師に従って
小説家になったわけですが、

だからこそ
占いのシーンは面白いです。

小説を書けと言われ
素直に天命に従って
傑作推理小説を送り出した高木彬光。

デビュー作は「刺青殺人事件」。

後半、刺青師が出てくるのは
決して偶然ではありますまい。

しかも、その人は
西郷隆盛の実弟・西郷従道の妻妾となるのです。

波乱万丈の高島嘉右衛門のブログ
まだまだ続きます。