こんばんは。
こんにちは。
ミステリ案内・稲葉の白兎です。
推理小説の楽しさを知ったのは、
小学生の時。
小学館の「小学4年生」を
不定期で読んでました。
お小遣いが少ないので、
毎月買えません。
その本誌に、「懸賞つき推理クイズ」なるものがあり、毎回、西郷というイケメン探偵?が事件に遭遇し、推理します。
アパート殺人事件で、容疑者は数人のアパートの住人。「あ、わかったぞ!」と西郷探偵。
私はサッパリ分からず。
毎月買えないものだから、ウッカリ解答編の載る本誌を買い損ねてしまいました。
そのアパート殺人事件と、
江戸川乱歩の「三角館の恐怖」のサスペンスがクロスしてます。
❶容疑者が数人以上
❷容疑者が、1つ屋根の下
❸部屋の見取り図がついている
そんなアパート殺人事件を彷彿させる
乱歩の三角館の恐怖は、
めちゃくちゃに面白いのです。
〝三角館〟は双子の老人の二世帯住宅です。
いちおう、大豪邸です。
最初は、1つの屋敷でした。
でも、早くに先代が死ぬと、
若かった双子の兄弟は、徐々に仲が悪くなり、
ついに、家を真っ二つに分けてしまいました。
エレベーターをはさんで、
右側の住居が兄
左側の住居が弟。
この双子は、年齢と誕生日が同じことが
唯一の共通点。
性格・生活・顔や体格の見た目は、
まるで正反対。
仲が悪くなったのは、
先代が
「最後に生き残ったほうが、
全財産を相続する」
という、遺言を残したからです。
この先代は仲違いをさせようとする意図はまったくありません。
純粋に2人に長生きさせたい、
と思ったからです。
先代は、ひと財産築いたものの、若くして、健康を害してしまいました。
だから、双子に長生きしてもらいたくて、
そういう、奇妙奇天烈な遺言、
相続条件になってしまいました。
だいたい、
遺産相続なんかしなくても、
その屋敷の抵当だけで、
双子は十分に贅沢な暮らしができました。
「長生き競争だぞ!」
「頑張ろうぜ!」
2人は、若いうちは無邪気に過ごしてきましたが、
元々の性格の違いや、
結婚などして家族ができると、
少しずつズレていき、
なんとなく悪い意味で
お互いを意識して敬遠し、
家族のために遺産を相続したくなり、
相手側に自分の状況を知られるのを防ごうとするあまり、仕切りを造りました。
昔の米ソのようになったわけです。
しかし、
この双子は
ハッキリ明暗が分かれました。
熱血屋で、スポーツマンの兄と
用心深い健康オタクの弟。
2人とも70歳ですが、
兄は、心臓病で見た目にも老けて、余命二週間なのです。
弟は、髪も黒々、杖も使わず健康的。
弟の勝ち!!
誰の目にも明らか。
このまま行けば
弟に全ての財産が渡ります。
兄の遺族は、全ての権利を失います。
2人の息子はニートなので、大変です。
「お父さん、なんとかしてください」
「少しは働いたらどうだ!😬
頭を下げにあいつの所に行ったが、体良く断りよった。この上は奇跡を待つばかりだ!」
三百パーセント
遺産は弟のもの。
それだけでなく、遺族は文無しになります。
一方、弟側は‥
弟は婿に相談します。
「財産を半分に分ける相談を持ちかけられたよ。あいつは弁護士まで用意していた。
見たところ、あいつは長くて一週間。
だが、あのバカ息子たちに大事な先代の財産を分けるつもりはない。
バカにかかったら、たちまち財産はなくなるからな」
婿は同意します。
実は弟にもニートの息子がいます。
弟は用心深く、結婚はしませんでした。
その代わり、2人の兄妹を養子にしています。
女の養子に実業家の婿を取っています。
それと、先代からの執事がいて、
5人で暮らしています。
兄はニートの息子が2人と
死んだ妻の妹がいて
4人で暮らしています。
両家の違いは、
血縁者で固まった家族と、
血の繋がりがない家族。
淡々と書きましたが、
この双子老人以外の
7人のキャラクターはキチンと立っています。
そこは江戸川乱歩。
キャラ立ちは大事です。
双子の子供たちで、
働いてる人がいない!!
双子の兄いわく
「この家でマトモなのは、弟の婿だけだ。
自分で事業を成功させている。
ワシの息子に1人でもあーいうのがいたら‥」
義妹の前で堂々と言ったから大変です。
皮肉に聞こえるからです。
「貴方は息子たちがかわいくないみたいですね」
「かわいいからこそ、頭を下げに行ったんじゃないか!」
主人公は、
遺言を書き換えたいと望む兄老人の弁護士。
「わしは2人の息子たちを路頭に迷わせたくないのです。だがあいつは、病気を見破り時間を稼いでいる」
ここで大事なのは、
お金が片方だけに行くのは確かに
都合が悪いでしょう。
どちらかと言うと、
お金が欲しいのではなく、
「なかったら大変!!」
の状況です。
普通に考えて、
さすがに弟だって、
兄側の遺族をその日から無一文で叩き出すということは
しないと思うんですよね。
兄の長男は
「叔父さんに物乞いはしたくない」
と言ってますけども。
横溝正史の犬神家だったら、
兄の義妹が、
可愛い甥っ子たちに遺産相続させたいと、
ガツーンとやってしまうんでしょうね。
弟は、勝利を手中に収めてるのですが、
悩みがあります。
それは、自分の金庫の小銭や小額紙幣が
誰かに抜き取られてることです。
一週間に2、3度のスパンで、
それが密かに行われているらしいのです。
さすが金持ち。
てか、弟。
悪を見逃さない。
些細なことも
いえ、
些細な事だからこそ。
放置できない。
誰が?
ナゼ?