こんばんは。

ミステリ案内の稲葉の白兎です。

昨日は、神奈川県の
元町・中華街にある
近代文学館にて、
特集「松本清張展」に行きました。



今日はそのパート2です。

展示物見てる最中に、ものすごい雷雨と雹ひょうが降りました。

これはセンセからの
「来てくれてありがとう」メッセージですね。

展示物は、とてもブログでは紹介しきれない内容の濃いもの。

まして館内は撮影禁止ですから、
写真を届けられず残念。

年表や作品群、
本人の使った万年筆や生原稿はお約束モノとして展示されてましたが、

映画のポスターやパンフレットの展示には、
思わず見入りました。



特に印象深かったのが、映画「砂の器」のパンフレット。

主演は今は亡き丹波哲郎と加藤剛。

加藤剛の和賀英良はよかったですね。

先月フジテレビ開局60周年のどこぞの若造の時とエラい違い。

そのパンフレットの写真が拡大されてて、

それが「羽後亀田」駅のロケの写真だったのです。


砂の器とくれば、

亀田。カメダ。

ダイイングメッセージみたいなものです。

蒲田のトリスバーで、犯人と被害者の前日の会話を聞いてた人が、こんな証言をします。

被害者らしき年配者がズーズー弁、つまり東北弁で、
その犯人とおぼしき話し相手の若い男は

「亀田は相変わらずですか?」

と言ってました。

これが、この事件の唯一の手がかりになるわけです。

カメダとは?

果たして「カメダ」とは一体何のこと、
誰のことを指すのか?

被害者は、蒲田の操車場で顔がめちゃくちゃになって発見されたので
身元が分からない。

ほどなくして、
その男性の養子を名乗る人物が現れ、
岡山の元巡査だとわかります。

手がかりは犯人が喋った「亀田」のみ。

東北訛りから、
被害者近辺で「亀田」という知り合いがいないか探しますが、空振ります。

カメダなる人物は、被害者周辺からは、
まったく出てきませんでした。

やがて
刑事は東北の羽越線に
「羽後亀田」という駅があるのを発見。

秋田の本荘市の近くです。
羽後本荘の2つほど手前の駅です。

もしかしたらカメダは、ヒトではなく、地名では?

1つの殻が破れた瞬間でした。

しかし、秋田のそれは、ニセの手がかりでした。

犯人や被害者がそこに現れた形跡は、
突き止められませんでした。 

刑事は、いったん考えを白紙に戻します。


紆余曲折は省きますが、
結局、
亀田は出雲にあったのが正解。

正確には亀嵩、(かめだけ) と言います。

最近のリメイク作品は、
もう羽後亀田のロケはすっ飛ばしているんですよ。

ひどいのになると、出雲の亀嵩でさえ、
ロケに行かず、インチキセットでごまかしてます。

でも加藤剛の砂の器は、
キチンと、最初に秋田の亀田に行ってます。

出雲の木次線(きすきせん)の亀嵩かめだけは、
さすがにファンや視聴者のあいだでは、
有名だと思うんですよ。

実際ワタシも出雲の「亀嵩」まで乗り鉄しましたし、出雲大社に行ったついでではありますが。

でも、秋田の羽後亀田となると‥

だからこそ、
ニセの手がかりの羽後亀田のロケの写真が展示されていたことに、
白兎めは感心しました。

どちらも日本海側で、
東京から遠くて、
時間と予算がかかります。

出雲亀嵩はローカル線です。

それを2つとも強行してみせた野村監督の映画はスゴイです。

もちろん、原作の今西刑事はもっとスゴイ。
羽越線の夜行列車はおそらく自腹。
ありきたりなボキャブラリーですが
刑事の執念。

とにかく、清張センセの鉄道旅の話は、
「じゃらん」も真っ青の、
旅行エッセイに近いリアリティ。

砂の器だけでも上記の場所だけでなく、
伊勢や、大阪、
石川県の山中温泉まで出てきます。



各小説に出てきた地名が
日本地図を使って、
紹介されてましたが、
ほぼ全国に渡っています。


こんな本が売られてたので
買いました。
清張作品を乗り鉄したそうです。

しかし、「羽後亀田」に行った記録はなし。
どういう基準で飛ばしたのかなあ。

「点と線」は、机上鉄の話だと、
この乗り鉄さんは、断定してました。😹

話の舞台になった地名を書き出したくなる、
その路線に出かけてみたくなる作家です、センセーは。