こんばんは。

ミステリ案内の稲葉の白兎です。

今日は、
横浜の近代文学館にて松本清張に行ってきました。
近代文学館は、港の見える丘公園の園内にあります。


港の見える丘公園は、花がいっぱいの素敵なところです。
思わず写真に撮ってしまいました。

園内には、イギリスのイングリッシュガーデンもあって、そちらの庭園も散策したかったのですが、
気持ちがせいて、文学館に直行してしまいました。
何しろ、2時を過ぎてましたから、そんな余裕はなかったです。

近代文学館は、港の見える丘公園の一番奥にあります。
なので、公園に着いてからも、10分歩きました。
見晴らしが良いとはいえ、階段はきつかったです。

ゴールデンウィーク中のせいか、
公園も文学館も、そこそこの人で賑わっていました。

さすが、清張センセ。
ファンの幅が広いというか、年配者だけでなく、
家族連れや若い人もいました。

男女比は半々といったところでしょうか。

テレビでやったばかりの単発ドラマ
米倉涼子主演の「疑惑」のポスターもありました。

米倉氏は、他に「わるいやつら」のポスターもありました。

上川隆也、北村一輝らと共演してます。

米倉版「疑惑」は、
岩下志麻の足元にも及ばなかったですね。

とにかく、清張の映像の人気作品は繰り返し、
リメイクする傾向がありますね。

「点と線」も何回放送されたかわかりませんが、
ビートたけしの鳥飼刑事のポスターが
展示されてました。

ちなみに「わるいやつら」も人気作品ですが、
「けものみち」とよく間違えます。

❶主人公以下、悪人しか登場しない。
❷悪い主人公が最後に転落する。
❸タイトルがひらがな表記。

けものみちは、主人公は女で、
いきなり邪魔な亭主を焼き殺すところから始まります。
写真はモノクロの松坂慶子が使われていました。

生い立ち、
作品年代別紹介をはじめ、
展示数半端なかったです。

というのは、
清張という作家さんは、
いくつものジャンルを持ち、
それぞれがほぼそのジャンルの先駆者と言ってもいいです。

社会派推理小説
これは、よく知られています。

時代小説。
代表作に「かげろう絵図」
「無宿人別帳」
特に「西海道綺談」は、5年に及ぶ大長編スペクタクル。
これは、清張による
アメリカのサスペンスドラマ「24」です。
石見銀山が元ネタになつてます。

ノンフィクション。
古代史。
人物評伝。

これがスゴイ!

邪馬台国ネタなど古代史に造詣が深いです。
それから、文豪・森鴎外をはじめとする評伝。
清張センセは、森鴎外の作品というよりは、
森鴎外その人に興味があったことが伺えます。

ノンフィクションは、
これもたくさんあります。
代表作品は、
「日本の黒い霧」。
「昭和史発掘」

戦後すぐ起きた「帝銀事件」をすぐ清張は、
「小説・帝銀事件」を書いています。

館内の映像ドキュメントにもありましたが、
清張氏は、
この大それた事件を平沢貞通という、
一介の民間画家に起こせるはずがないと興味を持ちます。
何しろ、銀行員10人を毒殺した青酸カリは、
即死しないように特殊な調合をしており、
特殊な技術、経験を要します

警察は、
満州で人体実験を密かに行なった旧陸軍731部隊に目をつけます。

しかし、GHQの圧力がかかって頓挫。

GHQと731部隊は切っても切れない関係なのです。

結局、民間人平沢貞通は死刑判決を受けます。
スケープゴートにされたんですよね。
人相書きに似てたこと、
拷問による自白してしまつたこと
犯人がよその支店で使った名刺を持っていたことなどから、
犯人に仕立てあげられてしまった。
誰がどう見ても、平沢は犯人とは言えませんね。

それをキッカケに清張氏は、戦後のGHQの暗部に目をつけ、「日本の黒い霧」を発表。

扱っているのは、下山事件、松川事件、レッドパージ‥‥多数。

それから
特筆すべきは、
ヨーロッパ取材旅行の多さ。

私も、改めて、
こんなにヨーロッパ行ってたんだ 〜としみじみ。

特に、
イギリス
フランス
ドイツ
スイス🇨🇭 
が多いですね。

その取材を元に大長編も生まれてます。
「霧の会議」
「詩上の旅人」

ヨーロッパ以外では、
イランなど中東。
「象の白い脚」はラオスが舞台という変わり種。

とにかく、
いくつものジャンルを手がけ、
82歳でガンで亡くなるまで精力的に取材・執筆をした清張氏。

濃い時間でした。