こんばんは。

ミステリ案内人・稲葉の白兎です。

スポーツとミステリのコラボ作品は
少ないです。

ミステリと競馬はありましたけど。

わたくしめが知っている数少ないコラボは
佐野洋「盗まれた嘘」。

テーマは高校野球。

犯人は母校のOB。

母校を甲子園に出場させたくない。

出場したら困る!

これ以上のネタバレはよします。
と言っても、この作品はそれほど出回ってません。

次に
ボクシング。
岡嶋二人の「ダブルダウン」。

岡嶋二人は、本格の巨匠エラリー・クイーンのように、
二人で一人の合作作家。

漫画家で言うなら、藤子不二雄。

岡嶋二人は、江戸川乱歩賞をとるなど、
作品のクオリティも高めの作家でしたが、
ギャラの不公平を巡って
ある日解散しました。

岡嶋二人というペンネームも
「おかしな二人」という有名な芝居をもじってつけたそうです。

アイデアを出す人と、
実際に文章を書く人が分かれていました。

シングルとなった井上夢人は、
今でも良作を生み出しています。

そのアイデアを出すほうが、
スポーツに詳しかったのです。

作家でスポーツに詳しい、
プレイヤーという人はまれです。

井上夢人は、全くの音痴。

「ダブルダウン」という傑作のネタ元は、
井上ではないほうが、作品の構想を練りました。
ボクシングに🥊詳しくないと、
書けない作品です。

岡嶋二人には、他に
「殺人!ザ・東京ドーム」がありました。

ナイター中継中に殺人が起きたりする話。

スポーツとミステリは、
このように相性がいいのですが、
作家自身は、あんまりスポーツに詳しくない傾向にあります。

岡嶋二人は、その点、
一人がスポーツやゲームに詳しいので、
異色の作品が多数生まれました。

「ダブルダウン」は岡嶋二人ならではです。

松本清張センセの後期の作品にプロ野球選手が出てくる長編がありますが、
残念なことに、野球が主題ではなく、
主軸は特定のサロンの人間関係です。

稲葉の白兎は、高校野球が好きで、
その延長で、元巨人の桑田真澄にはいろいろ興味があります。

昨日のブログでは阪神で活躍した
イケメン新庄剛志の告白本を紹介しました。

彼も、桑田も、一流プロ野球選手のくくりでは
収まりきれない人間的な魅力があります。
野球以外のことにも手を出して、
それがまた極まっているんですよね。

桑田さんは自分自身を野球バカと言ってます。

どこが?というくらい野球以外のことでも
とことん上達しているのです。

ピアノ、ワイン、英会話、スポーツ医学、
コーチング‥‥。
どこが野球バカなんですか?

本もたくさん出しているし。

あの厳しいPL学園時代にも、彼女がいなかったことはないそうですし、
若い時、宮沢りえさんとも浮名を流しました。

新庄氏と同様、二人とも相当に器用なほうです。
外から見るとまるで似てないようでいて、

共通項を発見しました。

海のものとも山のものとも知れない超無名の頃、
たった一球、投げた球のコントロールの良さが
コーチなりスカウトなりの人目に止まって
見いだされたことです。

PL時代、外部のコーチが監督に
「この選手は是非、ピッチャーとして残してやってください。私が全責任を負います」
その一言で、中村監督はまだ一年生の桑田をスタメン登録、甲子園出場のかかる大事な試合でいきなり使います。

練習中、何気なく投げた桑田の動作を
コーチがたまたま目撃しただけです。

新庄は甲子園すら出ず、
たまたま学校に他の選手目当てで来たスカウトの目の前でバックホームを見せ、
ドラフト5位で指名されました。

二人ともキッカケはこのワンチャンスのみ。

それから先は、ご承知の通り、
スターの階段をあっという間に駆け上がりました。

低迷していたチームまで輝き出します。

桑田さんは、つい先週、
巨人対マリナーズの始球式に登場、
ノーバウンドで投げました。

その時のユニホームが
メジャー時代のパイレーツ。

引退しかかつているイチローへの励ましとなりました。

新庄もある日、阪神のカントクに就任して
あっと言わせる日が来るかもしれません。

桑田は引退後の自分の活動を
野球の神様の恩返しと言ってます。

PL時代にレギュラーになる、エースになるというのは、普通のことではないです。

周りに桑田以上の選手はゴロゴロいました。
彼はまったく目立たず、
挫折しかけたそう。

彼が考えた奥の手は、野球の神様に好かれること。
野球だけやってても、神様は特別に味方しないから、早朝のトイレ掃除を実行。
皆が寝ている間にピカピカにして、知らん顔していたそうです。

ただでさえ少ない睡眠時間は、
ないに等しかったはずです。

では授業で寝ていたかと言うと、
クラスで一番の成績と聞きますから、
不思議です。

トイレ掃除の効用かわかりませんが、
彼だけは上級生から殴られた事がなかったとか。

そうそう、二人とも
父親が「巨人の星」の星一徹。

良くも悪くもお父さんの薫陶を受けたことは
間違いないそうで‥‥。

波乱万丈な一流選手には興味が尽きないです。