こんばんは。

すみません、昼です。

ミステリ案内人・稲葉の白兎です。

大河ドラマ「いだてん」は、惰性で見てます。
惰性と習慣。

竹中直人の「秀吉」以来、
一年も欠かさず見ている大河ドラマ。

和泉元彌のマイナーな「北条時宗」でさえ、
毎週見れてました。

惰性ではなく、
それなりに楽しんでました。

あの北村一輝は、
この時宗の唯一の悪役で、
イマイチなキャストが多い中、
目立って強烈な北村デビューでした。

いだてんは、
引っ張らないんですよ。
キリのいいところで終わるというか、
スリルがないというか。

連載マンガの分かれ目は引っ張るか否か。

先週、めちゃくちゃ面白いマンガに出会いまして。


テレプシコーラ舞姫。

バレエ漫画っす。

雑誌ダビンチに連載されていたようですが‥。

ダビンチって、本の紹介マガジンじゃなかったっけ?

何が言いたいかと言うと、
引っ張ります。

ページをめくる手が止まらない。

いや、めくるのめんどくさい。

しかもパスタ屋でパスタ食べながら。

どういう読書しとるねん。

駅から遠く離れた辺鄙なパスタ屋。


用事が終わって、焼肉屋に入るはずが、
店の名前に惹かれて、
しかも美容院の二階。
好奇心がムクムクもたげ、
勇気を出して
入ってみた。

案の定、洗練とは程遠いカントリーな店内。
本棚には、漫画が並んでます。
漫画が置いてあること自体、B級な雰囲気。
パスタセットは意外と安く、味も悪くなかった。

たまたま本棚が近く、
ボロボロに近い山岸凉子の漫画が置いてありました。
山岸凉子といえば、大御所。
スワンやアラベスク、日出処の天子などの長編の代表作があります。
それこそ、こないだのブログの木原敏江、萩尾望都氏らと同じ
古き良き少女漫画を描く人のイメージ。

今時のワケわっからん少女マンガが書店のコミックコーナーに並べてありますが、
私はもともと少女マンガは管轄外。

とりあえず大御所だから手に取ってみました。

しかし、店のオーナーだか、従業員だかは、とにかく若い男性でした。

ますます「?」。
しかもヒドイことに3巻に、モノが挟んでありました。おそらく客が途中まで読んで、また来ようと画策したのかな?

読み始めたら、絵が下手で驚いた。
てか、中身の絵と表紙が違いすぎる。
洗練されたものを想像してました。
昭和っぽい。
ワザと一人一人、違くしてある。
描きわけがハンパない。

タッチのあだち充などは、
どの漫画も同じ絵。
登場人物の描き分けが全くできてない。

半分はアシスタントが描いたのかと思うほど、
主役以外の登場人物が雑すぎ。

どうやらバレエ漫画。
踊るバレエです。

いきなり引き込まれます。

主人公のクラスに来た謎の転校生。

美少年ではありません。(笑)

むしろ逆。

醜い転校生。
しかも女子。

なのに、
バレエ、めっちゃ上手い!

運動神経抜群。

しかし、それ以外はすべてオール1。

顔も勉強も性格も、
おまけにドのつく貧乏。

家庭もフクザツ。
女子力ゼロ。
無愛想。
あっという間にいじめの標的。

皮肉にもこの少女の名前には美という文字が入っている。

主人公の家庭は、
できのいい姉、バレエ教室運営者の母、
優しいパパ、小綺麗な家。

意気地のない女の子だけど、
恵まれた環境です。

客観的な容姿はどのレベルかわかりません。
でも、姉を除き、主人公でない女の子は不細工に描かれてます。

ガラスの仮面の北島マヤのレベルか。
いろんな意味で。

それは逆かも。

謎の転校生は、
バレエの天才。


山岸凉子、すごい。
手加減なく、まだ小学生の彼女たちに過酷なものを突きつけます。

主人公より、
その謎の転校生の存在が圧倒的すぎて、
ストーリーから目が離せません。

ヤバイ。

冷やかしで読んだはずが、
パスタがどーでもいいくらいに、夢中になって、
気がつけばひたすら読書。

店には3巻まであり、全部読んでしまった。

食事ではなく、完全に読書。

話に引き込まれて、
周りが見えなくなってしまいました。

続きが読みたい!

それにしても、
ガラスの仮面とつくづく似てるじゃありませんか。

環境に恵まれた、才能にも容姿にも恵まれたエリートの姫川亜弓。

北島マヤのライバルです。

何でこのヒトに人気があるのかよくわかりません。
多分、努力家だからなんですね。
私からすると、全く同情する要素がないです。
ただの演劇オタク。暑苦しい。
存在がイヤミ。性格も良いとは言えない。
その証拠に友達いないし。
そもそも亜弓をキレイだと思ったことがない。
人間的魅力を感じないです。

一方、主人公の北島マヤ。

演劇以外はオール2。
世間知らず。超天然。演劇以外は劣等感のかたまり。
片親。ド貧乏。
親も、ヒドイ。
投げやりで、マヤの良さを見ようとしない。

マヤの天才性は、
セリフを一回で覚えられる。
役になり切れる。なってしまう。


しかもなぜか、観客を惹きつけ、
男性にモッテモテ。
金持ち劇団のエース、イケメンの桜小路とやらにコクられる。
大都芸能の速水社長は彼女にゾッコンで、足長おじさんになってしまう。
共演の男性は皆、彼女にやられてしまう。

役では意外性ハンパない。
シェイクスピア劇の妖精の役、狼少女、
人形、海賊、
乞食の子、三重苦、美貌の王女‥。
枚挙にいとまがない。

天才とはなんぞや。

才能の自覚がない人は天才か?

テレプシコーラの謎の転校生も、
この天才型、才能型である。

タチの悪いことに、人と比べた経験がないのか、
皆が眼を見張るようなワザが
彼女には自然体でできる。

主人公の姉と姫川亜弓はかぶってます。

才能のある努力型。
一番を常に目指している。
容姿も良い。

ただし、
役者バカ、バレエバカなところがあり、
他に興味が持てないのが残念。

恋すらしない。
そのアイデンティティゆえ、一度崩れると、
命の危険さえある。
周りから応援されにくい。
常にできて当たり前とされている。

さて、どっちが逆境にもろいでしようか?

話が逸れてすみません。

やたらにリアルで重くて、

しかし、

子供にバレエ習わせたくなるか、
自分でやりたくなるくらい、

バレエの魅力を教えてくれています。