こんばんは。
ミステリ案内人・稲葉の白兎です。
このブログを始めて、丸2年経とうとしています。
松本清張のミステリで、
最初のほうにこのブログで紹介した作品は、
中編「熱い空気」。
昨日の夜、国民的女優・市原悦子さんがお亡くなりになりました。
もちろん、驚きました。
10年ほど前から、一線を退き、
シリーズものの出演をお辞めになられました。
主役で出るということはなく、
ナレーションか、
映像でも、部分的な出演だけです。
引退には、早すぎるという思いましたが、
あまり体調が良くないとのこと。
「熱い空気」は、そんな市原悦子さんの出世作。
なんと、テレビシリーズ「家政婦は見た!」の原作なのです。
意外と知られてないです。
なので、ブログの初期、熱く語りました。
原作は単発もので、
土曜ワイド劇場に登場したドラマも単発ものでした。
ところが!
あまりに市原悦子の演技が良かったのか、
この家政婦は、
一気に庶民のハートをつかみました。
「熱い空気」の市原さんは、まだお若いです。
40代前半と思われます。
何年か前、DVDを借りて見ました。
若っかー!!
野村昭子さんも若いです(笑)。
内容はわりと原作に忠実。
派遣先の大学教授の旦那さんは、
いわゆる浮気をしてるワケでして、
家政婦秋子は、そこの奥方に思い切り上から目線の対応されて、
密かに仕返しを考えたわけです。
まだ、初回の秋子さんは、
単発もののせいか、
はたまた清張センセがお書きになった作品だからか、
結構イジワルなんです。(^◇^;)
性格悪いんです。
派遣先の不幸というか、弱点というか、
そういう部分を発見するのが秋子さんの
シュミで、
早い話が孤独で可哀想な中年女性なのです。
家政婦をしてる時点で、
ワケありですね、時代背景的に。
その派遣先の取り澄ました奥方を筆頭に、
生意気なその息子、ガキ( 失礼!)、
真面目なご主人、
その母親が出てきます。
秋子は、姑に近づき、
仕返しの機会を伺います。
家庭が混乱するサマを見たい、
奥方の慌てる顔が見たい、
そのやり方が痛快なわけです。
読者のほうは、
なぜか秋子の味方に。
ここが面白いのです。
秋子の不幸に同情。
そして、上流階級への嫉妬?
陰・日なたなく勤めるという言葉がありますが、
秋子に限って、
陰も日向もありまくり🤣
アタマのいい女性ですから、
要領よく目的を達成します。
ところが、
清張センセは、
なんだかんだ秋子の有頂天ぶりを許さないわけでして‥。
いささか、調子に乗りすぎたんですよね。
とにかく、単発のはずが、
市原悦子の演技と原作の良さで、
人気爆発。
シリーズ化へとなだれ込みました。
そして、あなたもご存知のとおりの
ユーモラスな家政婦・秋子へと変貌。
見事にキャラが立った秋子。
上流階級の派遣先でギャフンと言わせる秋子。
そこになんとなく悲しさをにじませるのも
市原悦子の役作りの賜物です。
ご冥福をお祈りいたします。