こんばんは。

ミステリ案内人・稲葉の白兎です。

12月になりましたが、まだあったかいですね。


さて、今日の西郷どん。

先週からの続きを考えると、
最終回から逆算すると、

今日の回が一番観るのがツライ回ですね。

夢も希望もなく、

西南戦争という悲劇に突入するだけのキッカケとなる回ですから。

「さすがは西郷サァじゃ」

私学校が出来たと聞いての大久保のつぶやき。

怖いです、大久保。

佐賀の乱を起こした、起こさせた?
ライバル江藤新平を斬首した大久保は、

権力欲に取り憑かれ、
密かに政敵を葬ることに情熱を傾けています。

稲葉の白兎めから見たこのシリーズの大久保さんは、
西郷さんを憎んでいるように見えます。

政治の邪魔でもあり、

西郷さんの、自分になくて彼にある人望、
大雑把さ、寛容さ、体格にどうしようもなく嫉妬
してしまうという、
つい、気になってしまうという大久保の暗いマグマ。

いっそのこと西郷を葬りたい。

そこで考えた陽動作戦は、スパイ大作戦。

これ、毛利元就が劣勢の陶晴賢に対して用いた作戦にも似てます。

「疑心暗鬼」を最悪で最強の結果を出させます。


西郷を、シサツせよ


このミッションをわざわざしたため、
スパイに持たせます。

ある効果を期待してのこと。

スパイと言いつつ、スパイには、スパイとして、
相手方にバレてもらう必要がありました。


それが「西郷をシサツせよ」と書かれた紙片。

スパイは視察だと思います。
視察を頼まれているからです。

でも、相手方は、刺殺と解釈。

最初から政府から送られた人間を信用してないし、
彼らもキッカケが欲しかったのです。

西郷はその紙片を読みます。

「おまんらー、こいは視察のまちがいじゃ!」

とは、言いません。
おそらく、大久保の意図をすべて一瞬で理解したのでしょう。

大久保は自分を暗殺したいのではない。

私学校そのものが目ざわりなのだ。

スケープゴートになることを覚悟しました。

不満分子をすべて集めて
それをカラダごと東京に持って行って、
不穏なものを一掃してもらって、
平和を、
中央集権国家を大久保たちに提供してやる

それが成されないと、
明治維新も完結しない。

大久保が待っていたのは
「挙兵」の2文字。

わざと疑心暗鬼にさせ、
私学校を挑発。

罠にかかった桐野利秋ら私学校の面々。

倒幕といった成功の後に必ず起こる仲間割れ。
そして仲間割れの処理法はだまし討ち。

さすがの大久保も
佐賀や萩の乱と、
薩摩士族の反乱を西郷が引っ張っていったら
勝つ自信はありません。

西郷さんも、
今になって蜂起するなら、
他藩の連中がピンピンしてるときにその反乱軍を結成すればよかったものを。

すべては手遅れ。

西郷さんには、政府に楯突くつもりはない。

それならそれで、
私学校を作った時点で覚悟が必要だったし、
一切関わらなければよかった。


今のところ大久保の思い通りに運んでますが‥

最後に笑うのは誰か?


この西南戦争のキッカケと空気感が
大久保利通を、人気がないだけでなく、
ダーティーな人物として日本人の心に刻まれてしまったわけですね。

あ、コレ、アレに似てる。

今年の高校野球。

大阪桐蔭vs金足農。

もちろん金足農が西郷さんで、
連覇の桐蔭の方が大久保。

「桐蔭、空気読んで負けろや」みたいなムードが試合後に漂い、

優勝したのはどつちだ?

と、わからなくなるくらい一方的に金足農だった。


大阪桐蔭が祝福されたとか、
褒められた話は驚くほど聞きませんでした。


テレビのワイドショーでも金足農のワンサイド賞賛だったと後で知りました。

試合に勝って人生で負けた?


とにかく、コレが日本人的浪花節の発祥の地ですね。