こんばんは。

稲葉の白兎です。

今日はビッグな3連休の2日目。
勘違いして、今日が日曜日かと思い、
西郷どん見るため8時にテレビ前にスタンバったら、
なんと土曜日でした。

焦って帰宅することなかったわ〜。😹

三角館の恐怖の話が続いてますが、
何でこんなにしつこく書くのかというと、
やっぱりコレはお手本的作品だからですね。

本格推理小説のお手本。
完璧。
お屋敷ものであり、
左右対称の館ものであり、

天候的条件、物理的条件はありませんがクローズドサークルものであり、

妖しい双子ものであり、

犯人当てものであり、
何故なら挑戦状が付いているから。

アリバイ、密室トリックものであり、
それも前代未聞のエレベーター密室殺人。

退屈さは一切なく、加速度はむしろ増していきます。

なにしろ、最後は、明智が遺言状をエサに犯人をおびき出すのです。

その遺言状とは、
蛭峰家の全財産は右蛭峰家の健作老人の遺族に送られるという遺言状。
左蛭峰家の養子たちには一文も行きません。

康造老人および健作老人を殺した犯人は、
喉から手が出るほど、この遺言状が欲しいのです。

何もしなければ、本来健康面では全く問題のない康造老人が全財産を継いだのですから。

コレは乱歩らしさが薄いです。
ロジックが行き届いてます。
怪奇性もゼロ。
唯一の怪奇は、犯人の変装。

森川弁護士が健作に頼まれて新しい遺言の書き換えの提案をした日、
つまり仲の悪い双子の老人が何十年ぶりかに話し合った日の晩、
灰色のスーツとソフト帽の訪問者が左蛭峰家に現れます。

不思議なことに、
この灰色ソフトの男を見たのは
2回とも左蛭峰家の猿田執事だけなのです。

この変装を除くと、
乱歩らしさゼロなんですよね。
だから人気がないのか?

そして、この作品の最大の良さは
エラリー・クイーンばりにフェアプレイの精神に富んでるところです。

犯人がわかって、初めて分かる隠し情報ゼロ。
動機、機会、全て白日の元です。
情報はすべて開示されてます。

犯人の告白ナシです。
何故なら、犯人が告白しなくても情報は全部出されているので
「実はあの時‥」
とか一切なし。

初めて知る事実、人間関係、建物の構造、ナシ!

実は借金があったとか、
誰かに脅迫されていたとか、
一切なし。

因縁もなし。
誰それの実は隠し子だったとか、
横溝正史がやりそうなこともナシ。

復讐の機会をうかがっていたとか、
そういうのもナシ。

すべては青天白日。

こんなフェアプレイな小説は他にないですよ。

それでいて、動機や犯人はメチャクチャ意外ですから。

別な作品に「十字路」がありますが、
これは最初から犯人がわかってる刑事コロンボ型パターン。
これも、乱歩らしさが薄い。
つまり怪奇性ゼロ。
浮世離れした美男美女も出てきません。

非常に現代的で、現実的で、

作者が松本清張でも驚かないし、(笑)
逆に清張が書きそうな小説であるとさえ言えます。
何で作者が松本清張でないのか?くらい清張的。

そしてこの2つの作品は
小説として優秀かつパーフェクト💯

皮肉です。
まるで乱歩が書くのは、優秀な作品ではないと言っているみたいで‥。
あくまでも本格推理小説として、です。

乱歩は面白いです。

そんなパーフェクトな三角館を、
ちょっくら突っ込んでみようと思います。

なんと言ってもエレベーター殺人です。

これは犯人が自分は頭がいいと言いたいのか?

それはないでしょうけど、

焦ってるとは言え、
リスク冒しすぎ。

必要性を感じません。

だいたい密室殺人の目的はアリバイ作りですが、
この場合、
健作老人を殺すそのものが大事なはず。

後ろからナイフでドスッとやれば、
確実。
なのに、あんな不確かな方法を使うなんて‥。

もっとおかしいのは、
あの灰色ソフトの変装。

絶対に要らないと思う。

リスク80%。

最初からその変装用具を持ってること自体がおかしい。
康造に対する殺意が固まっていて、
それが、いつになるかという段階だったんでしょうけど。

普通に皆が寝静まったあと襲っても、
そんなに変わらないと思うけど。

何で猿田執事を殴ってまで、
そんな冒険をするのか?

ムダな動きとしか言いようがないです。

それを言っちゃオシマイよ。

健作老人はどうしても殺す必要あったのかな?

財産を半分でも、
犯人にはイヤーなことだったらしいけど。

康造老人が、財産を半分にという健作の意見に合意していたら、
こんな悲劇はなかったとも思うけど。

長生き競争に負けた側が
一文無しになるなんて、
やっぱり先代の遺言状は馬鹿げてますね。

極端すぎるんですよ、遺言状が。


そして同じ半分でも、

最初から半分と、
後から半分になるのとでは、
心理的に違うものなんでしょうかね。

昭和26年に、
ニートの出現を言い当てたスカーレットさんはすごいです。

健一と丈二は、
今時の若者に近いものがあります。

恐妻家の芳雄、
奔放な桂子
それほど真面目でもない猿田老人執事。

さすがアメリカの作家。昭和26年でも
封建的な匂いがしません。

原作では
キヤロラスとダライラスという名の双子。
キヤロラスが康造です。

合理的なようでいて最後に墓穴を掘った康造。

「あんなに頑張って長生きしたがってたのに、
先に逝っちまいやがって‥可哀想に」
(涙をこぼす)
コレは健作のセリフですが、

人生計画どおりにいきませんという教訓。

タバコも酒もスポーツもやらなかった康造。
結婚もしなかった康造。
健康に気をつかい、
ひたすら先代の教えを守った康造。

なのに執事に裏切られるわ、
殺されちゃうわ‥😖

頑張ってもこんなもんです。

健作曰く
「わしは若い頃から好きなことは何でもやってきた。
タバコも吸う、酒も飲む。水泳もした。
だから、体はボロボロ、こんなザマだ。
子供たちに財産を残してやれない。
今思うと先代の遺言がわしらを縛り、苦しめてきた気がする。
仲は悪くなり、屋敷が半分に分かれたのもそのせいだ。
康造、わしらは間違っていた。
財産はどちらが生き残っても、半分は兄弟の遺族に遺贈するということにしてはどうかね?
森川さんが提案し、ワシはもう先に判を押した」

さア、どっちがいいですか?

確か双子たちの年齢は70か75でした。