こんばんは。
ミステリ案内人・稲葉の白兎です。
晩秋です。
まだコタツとかストーブというほどではありませんね。
例年より暖かい気がします。
こないだ、友人数人と雑談してるうち、
私めが誰かの小説やドラマに詳しいという話題になり、
松本清張の「黒革の手帳」の話が出てきました。
あれは、清張のドラマでも人気中の人気で、
理由は素材がいいということですね。
キャバクラとか銀座ホステスとか
誰しも興味が湧く業界でのドロドロ劇ですから。
話が面白すぎて、
極端なことを言うと、
俳優の演技力が要らない。
とは言え、米倉涼子が一躍人気女優に躍り出たのも、この連続ドラマの役がハマったからであります。
映画も含めて、4回以上、映像化されています。
話を知ってる人がそのグループでほとんど全員だったので、話がしやすかったですが、
悪い女とは言え、
原作の原口元子の転落があまりにかわいそう‥
という意見が私を含め大半でした。
確かに悲劇が倍返しになりました。
これが松本清張の特徴です。
最初に元子は銀行員だかの男性を恐喝して
大金を引っ張ってくるわけです。
そこからは、小気味がいいくらいに
銀座のクラブが一流店にのしていきます。
さあ、お楽しみはここからだ、
という時、
何か歯車が狂って、下り坂を降りて行きました。
読者も気づかないうちに、
元子は罠にハマって滑り落ちました。
悪のヒロイン、ヒーロー?は全て
元子と同じコースを辿ります。
清張センセの王道。
私の知る限り例外はなかったですね (^^;;
そして、そこから、
横溝正史の過去の金田一耕助は、
誰がよかったか?
という話題。
石坂浩二、古谷一行は人気がありましたが、
片岡鶴太郎は‥。
そして江戸川乱歩の明智小五郎シリーズも
天地茂の名を出した途端、
随分昔の人だね、
と言われてしまいました。
私が最初に見たときは小学生でしたから
(−_−;)。
美女シリーズとも言います。
最後の方はネタ切れに近かつたですが。
三角館の恐怖
「炎の中の美女」
ヤケクソ的なタイトル。
どこが炎なんだよ!(笑)
原作にはタバコの火ぐらいしか出てきませんよ。
誤解を受けるのが、
「毎回、美女が出てくるんですか⁈」
という質問。
おそらく
わざと美女が出る作品を選んでる(笑)。
いずれにせよ、虚構の世界では
美女が出てくるのはお約束か定番に近いので、
「美女」のサブタイトルをつけるのは容易です。
リアリズムの清張センセは、
美女なんて、超必要性がない限り、
あまり安易にそういう表現、女性は出てきません。
黒革の手帳ですら、原口元子が美人なんて表現ありません。
銀座ママは容姿より手腕によるところが大きいので。
最後に、「砂の器」です。
映像化ナンバーワンの作品です。
一番最近の例のピアニスト役を演ったのは
元SMAPの中居正広。
あまりイメージに近くない配役です。
友人の1人が
「恩人を殺すなんてあり得ない!」と意見。
人間の証明も、
過去を消すため
訪ねてきた子供を母親が殺すんです。
私はどちらもアリだと考えます。
賛成という意味じゃありませんよ。(^_^;)
すでに既存の生活圏にはいない過去の人間で、
苦労して手に入れた地位を根底から覆す人間が現れたら、
冷徹になるのではないでしょうか。
保健所に、さも優しげな飼い主が
犬の「処分」の依頼に来るそうです。
例外ケースではなく、
ほとんどの人が虫も殺さぬ優しげで上品なマダムだとか。
上流階級に行くと、道徳心が薄くなる⁈
人間の証明にしろ、砂の器にしろ、
犯人は栄華を極めつつあるか、
成功した人間。
そんなところへホイホイと、
「ちょっと懐かしくなって逢いに来ました!」
と、突然、長いこと封印された暗黒時代の人間が現れてごらんなさい。
招かれざる客
金を無心に来たのか⁈⁈⁈
「砂の器」のお巡りさんは、
ちょっと無神経だと思いましたので、
そう話したら皆さん納得してくださいました。
リアルのミステリ談義、楽しかったです。