こんばんは。
ミステリ案内人・稲葉の白兎です。
今日は、千代田区神保町の
よく行く本屋の姉妹店に入りました。
買ったのは
本屋らしくないです。
どちらかと言えば「オモチャ屋」
「ゲーム屋」
「パズル屋」。
ここなら生のウサギが売られていても驚きません。(笑)。
昭和の世界満載。
わが松本清張の映画シリーズや
江戸川乱歩の明智小五郎シリーズの映像ボックスがありました。
子供の時に読んだ「三角館の恐怖」。
これは完璧な作品。
明智小五郎シリーズに
「炎の中の美女」と副題がついた「三角館の恐怖」がありました。
この話に出てくる美女はただ1人。
左蛭峰家の鳩野桂子。
演じたのはおそらく高見知佳。
なワケはない。
彼女は美女ではない(笑)。
高見知佳は多分、明智の助手・真弓さんかな。
いちおう美女である桂子も、あまりマトモな人物ではありません。
旦那の芳雄がいながら、いとこの丈二と仲良くしている。
丈二が好きなんです。
彼のハンサムなところ。
フワフワと楽しいところ。
いい加減なところ。
女垂らしなところ。
でも丈二はお金を使うことしか考えない。
桂子に優しいのは、金持ちの旦那・芳雄と、
さらに蛭峰家の財産を握る康造がバックについてるから。
その証拠に、健作側が勝った瞬間、
急に桂子によそよそしくなりました。
現金な丈二は現金にしか興味ありません。
こういう男に限って、ある種の女性からは魅力的なのですね。
さて、世界初のエレベータ密室殺人。
3階から1階に降りようと、
車椅子でエレベータに乗り込んだ健作老人。
1階に着きました。
老人はナイフで刺され事切れていたのです。
乗る時に穴山弓子が手伝いましたが、
彼女いわく
「健作さんしかいませんでした。他の人が中に隠れるのは無理です」
「車椅子を入れたらそれだけでいっぱいです」
家庭内エレベーターなんてそんなもんですよね。
最初から死んでいたのでは?
それも無理。
なぜなら中の人がボタンを押さないとエレベーターは動きません。
間違いなく健作はエレベーターのボタンを押して、1階へと向かったのです。
つまり、出発時点では生きていたのです。
2階で誰かが乗ってきた。
あるいは健作が2階で降りた。
これも無理。
なぜならエレベーターはずっと作動中で、
ガーガーというやかましい音が1階に着くまで途切れることはありませんでした。
途中で降りた形跡、可能性はありません。
財産を半分に分ける遺言状に書き換えようとした健作。
森川弁護士から事情を聞いた名探偵明智小五郎は、
「ハンコを押させてはいけない!」
「私が来るまで何もさせるな!」
急遽、蛭峰家に駆けつける明智。
ちょうど、健作がエレベーターで降りてくるところでした。
間に合った。
しかし、
エレベーターのドアから健作は出てきません。
明智らが開けると、健作は死んでました。
首に巻いたショールが血まみれでした。
犯人は、健作を阻止しようと先手を打ったのです。
これで財産は全部健作側の遺族のものになります。
明智には分かってました。
犯人の意図が。
健作老人が財産を独り占めすれば殺されなくて済んだのです。
立派な行為がアダになりました。
それはともかく、
私はエレベーター殺人の密室の謎が解けず、
何度も何度も読み直しました。
大人になって読むと
思ったより大したことないトリック
に見えたから不思議です。
エレベータで殺す必要ある?
でも当時はすごく魅力的で、
蛭峰家の皆のいた位置が真相に近づくのでは、
と図面を暗記するほど眺めました。
エレベーターはどこにも止まってないのに、
どうやって老人は殺されたのか?
犯人は室内に入ったのか?
明智いわく
こんな殺人を思いついて実行するほど、
犯人は切羽詰まっていたのだ!
どうしても健作に新遺言状のハンコを押させない。
明智には、犯人が分かっているようでした。
それどころか、康造老人の手提げ金庫から、
小額紙幣を盗む泥棒の正体についても。
芳雄から、康造が小銭泥棒に頭を悩ませていた
事情を聞きます。
千円札に目立たない印をつけておく
印のついたお札を持ってる人がいたら、
そいつが犯人だ
明智は金庫のお札を調べます。
その泥棒は、一万円札には目もくれずに
小銭や千円札にだけ手をつけます。
そこに妙なものを発見する明智。
Kの文字が書かれています。
もしやこれが?
康造老人は、早速芳雄の提案を実行したようです。
明智はある人物からサイフを借ります。
そしてその中にKの印があるお札を発見。
「君が康造老人のお金を盗んでいたんだね」
当人の告白によると、
お金がほしくて盗んだのではなく、
病気の一種だと言います。

