こんばんは。

ミステリの稲葉の白兎です。

ザ・ニート


パラサイトシングルという言葉が
短い時期ではありますが、
流行した事がありました。

親のすねかじりをカタカナにしたわけです。

ですが
「ニート」という言葉に取って変わられ
あっと言う間に消えました。

定職に就かずプラプラしてる人。

労働しない。
稼がない。

豪邸「三角館」の住人、両蛭峰家の人たちは
ほとんどがそうです。

両家で働いているのは、

康造の養女・桂子の婿養子の鳩野芳雄。
実業家で、大した金額を稼いでます。

それと先代からの執事の猿田。

双子の兄側・健作老人サイドには1人もいません。
健一‥やや芸術家気取り。典型的なニート。

丈二‥美形で軽薄。働かないだけでなく、
         浪費家。自分に寄ってくる女は財布がわりにします。

そんなアホ息子たちを父親健作は、
嘆いています。

でも可愛いので、このままでは死ぬに死ねません。

自分が死んだら、蛭峰家の財産は、
先代の奇妙な遺言により、弟に全ていつてしまいます。
心臓病で二進も三進もいかなくなってから、
死んだ妻の妹・穴山弓子に言います。

「ワシらの育て方が間違ってたのだ!」

そうです。弓子が甥を溺愛しすぎて
甘やかしたからいけないのです。

「それを言ったら、お隣の良助さんだって‥」
弓子も言い返します。

「だが、桂子の夫・芳雄はどうだ?
自分で事業をおこしてキチンと稼いでいるぞ。
あーいう息子が1人でもいたら‥」

「あなたは自分の子供が可愛くないようですね」

「何を言うか。可愛いからこそ、康造に頭を下げに行ったのだ。どちらが死んでも財産は半分に分ける新しい遺言状を作ろうと。弁護士の森川くんを呼んだのもそのためだ」

「どうせ、あのケチなおじさんは承知しなかったんでしょ?」

「ああ。なんのかんのと首を縦に振らなかった。
ワシの死ぬのを待っているのだ。
もはや、奇跡を待つばかりだ」

康造老人は万事に用心深い性格です。
結婚せず、孤児の兄妹を拾って養子にし、
さらに実業家を養女の婿にあてがいました。

手提げ金庫の中身を毎晩キッチリ数えてるところからもわかります。

おそらく健康オタク。

運動や嗜好品はやらず、
今でいうサプリメントなどを摂取していたのでは?

それでも2人の子供は健作のところと似たり寄ったり。
パラサイト&ニート

婿の芳雄に愚痴ります。

「ウチの良助もしようのない奴だが、まだ金の価値を分かっている。
だが、健一と丈二は違う。
金を使う事しか知らない。
健作は自分の息子らに先代の築きあげた大事な資産を一気に蕩尽させようというのだ」


死んだ後ならまだしも、
目の前で浪費されたら私でもイヤですね。

そして康造は、相続の話は終わりにして、
小銭泥棒の話を持ちかけます。
何者かによって手提げ金庫の現金が少しずつ減ってることを打ち明けます。
芳雄は、お札に目立たないマークをつけることを提案。

そんな相談の真っ最中、
不思議な人物が
康造老人の左蛭峰家の玄関に現れます。

灰色ソフト帽の男。

執事の猿田が取り次ぎますと、
男は猿田を殴って昏倒させ、
書斎にいた康造を射殺したのでした。

銃声を聞きつけた良助が駆けつけると、
書斎には茫然自失の芳雄と、
康造が椅子の上で血に染まって死んでいる姿が飛び込んできました。

これは前回の話。

健作が息子たちにキレて、森川弁護士を呼び出します。

3階から、穴山弓子に手伝ってもらって
エレベーターに車椅子で乗り込み、
下に降ります。

一階に着いた時には死んでいました。
ナイフで首を刺されて。

不思議なのは、弓子が車椅子に乗った健作を入れた時、
エレベーターには誰もいなかったと証言。
どっちにしろ、車椅子で室内はいっぱい。
とても人間なんて余分に入れません。

そして、中の人がボタンを押さないと、
エレベーターは進みません。

一階で死体を発見したのはその場にいた
芳雄、森川、明智。
明智小五郎ら3人共見ているので、
誰も出てこなかったのは確実です。

健作は3階から出発した時は生きていたのです。
でも1階に着いたら死んでた。

エレベーターは途中で止まりません。
なにしろ、作動中、
ガーガー音がして、それは何人もの人間がうるさいエレベーターの音を聴いてます。


密室殺人。

一体、犯人はどうやって健作を殺したのでしょう?