こんばんは。

ミステリ案内の稲葉の白兎です。

いつもありがとうございます。

「パラサイト・シングル」だらけの
豪邸に住む家族「三角館の恐怖」。

作者は江戸川乱歩。


本格推理小説。

双子の老人の家族が一つ屋根の二世帯住宅に
住んでます。

両家で9人が暮らしています。

女性の登場人物はきわめて少ないです。
それぞれの世帯に1人しかいません。

双子の弟側の養女。
20代半ばの美女。人妻。
名前は婿の姓を名乗り鳩野桂子。


もう1人は双子の兄側の義妹。
50代後半のオバサン。
マダムではなく、オバサン。
無表情で無口。小太り。
独身。
2人の甥っ子を溺愛している。
名前は穴山弓子。


二世帯から成るこの豪邸を仕切っているのは、
双子の老人。
居住部分も双子のような相似形。

造りが同じ。

左右対称。

で、真ん中にエレベーターがあります。
このエレベーターは二世帯の共有物。

地下一階から地上3階まで。

左が弟世帯。右が兄世帯。

私は、このエレベータの存在がめっちゃ気になりました。
エレベーターが家にあるなんて、
すごい金持ち!🤩

3階建てというだけで、
金持ち感あふれる建物だと思いました。

200坪。めちゃめちゃ広いですね。


さて、このエレベーターには欠点があります。

動いている間、
ガガガ‥とものすごい音がするそう。

あと、家庭用ですから狭い。
車椅子だと1人しか乗れません。

健康面では全然勝っていた康造老人が殺されて、

心臓病で余命幾ばくもなさそうな兄・健作が
蛭峰家の財産を掌握することになりました。

康造が殺された翌日、
念願の車椅子が届いてご機嫌の健作老人。

邸内を何度も車椅子で自由自在に移動します。

そんなご機嫌も長くは続きません。
弟側の遺族に財産を半分分けてやろうとしたのがアダになりました。

実の息子からは、
「ケチんぼの叔父さんの遺族に、わざわざ遺産をあげる必要ありません」
と反対されます。

「お前はいとこがどうなってもいいという考えなのか⁈」

そして明智小五郎とその友人の顧問弁護士から
ハンコを押すのをいま少し待ってください。

となぜか止められ、

それを嗅ぎつけた弟の養子・良助が

「やっぱり、なんだかんだ財産を分けるのがイヤになったんですね。伯父さんは偽善者です」

なんて言うからたまりません。

ついに、怒髪天を突きます。

「もういい、もう沢山だ!💢
どいつもこいつも、揃いも揃って情けない奴らばかりだ。\\\٩(๑`^´๑)۶////
みんな、自分の事しか考えてない」

そして弁護士の森川に
「お聞き及びの通り、明智さんにはどうぞ謝っておいてください。
わしはもう限界で、最初の意思を実行するまでです。
康造の遺児、良助と桂子に財産を譲る。
ハンコを押したいので、今すぐ事務所に行って書類を持ってきてください💥」

えっ、てっきり、「誰にもやらん」と言うかと思ったのに。

健作老人の剣幕に、
森川弁護士を始め、
誰も何も言えなくなりました。

「良助、お前があんな事を言ったから、気が変わったんじゃない。元々、わしは当初からそうするつもりだったのだ」

良助はすっかり縮み上がって俯くばかり。

森川は、慌てて明智に電話します。
気が変わった一部始終を説明します。

「マズイな。非常にまずい。
なんとか健作老人がハンコを押すのを阻止しなければならない。
犯人を刺激した可能性がある。

森川くん、僕が三角館に駆けつけるまで、
老人を引き留めておいてくれたまえ」

犯人というのは、康造老人を殺した犯人です。

順当に行けば、康造老人の養子である長男の良助と、
その妹・桂子が全財産を受け取るはずでした。

ライバルの健作老人は、医者から余命宣告されていました。早ければ2週間後に逝くと。
焦った健作は、ニートのバカ息子たちが心配なあまり、杖をついて康造に談判に行きます。

先代の遺言は馬鹿馬鹿しいから、
この際仲直りして半分、
どちらが勝っても相手の遺族にも財産を譲るということに書き換えようと。

ところが康造はすぐに健作の健康状態を見抜いて、即答を避けました。
勝つのは時間の問題。

生活無能者である健一と丈二に財産を食いつぶされてはたまらないから、断ることにしました。

それが、たった一晩で勝者と敗者が入れ替わってしまったのです。

犯人の誤算は、健作老人が勝者になったのに、
敗者にも遺産分けをしようとした事でした。

明智は急いで三角館に駆けつけます。
このままでは健作が危ない!

健作がちょうど3階からエレベーターで
車椅子に乗って降りてくるところでした。

ガーガーガーとエレベーターの音。

森川、桂子の婿鳩野、明智らの前でエレベーターの扉が開きます。

中にいたのは、首をナイフで刺され絶命している健作老人の変わり果てた姿でした。