こんばんは。
ミステリ案内人・稲葉の白兎です。
西南戦争へとスリリングな展開になってきた
「西郷どん」。
来週は両雄激突!!
ここに来て大久保もダークな部分が出てきました。
物欲のない野心家。(笑)
旧薩長だけで政治を動かしたい。
土佐はさほどいい人材がいませんが、
佐賀は頭のいい江藤新平と大隈重信がおり、
彼らの台頭が気がかり。
洋行視察の留守番係を押し付けます。
全ては来週に、視察組と留守番組との
決定的なミゾができます。
会社の吸収合併みたいなもんです。
江戸川乱歩の「三角館の恐怖」は、
乱歩作品にあらず。
原作者はアメリカ人。
だから怪奇要素ゼロの
ガチガチ本格推理小説。
殺人事件は2件。
犯人は一人。
容疑者は屋敷の住人。
200坪の豪邸を
双子の仲違いにより
ムリクリ二世帯住宅に改造。
右三角館・蛭峰健作(兄)
長男・健一
次男・丈二
義妹・穴山弓子
左三角館
蛭峰康造(弟)の養子・良助
養女・桂子
婿養子・鳩野芳雄
執事・猿田
先代の莫大な資産を受け取れるのは、
双子の兄弟の長生きしたほう。
つまり、どちらかが先に死んだ時点で遺産相続が始まります。
先代の純粋な思いと裏腹に、
長生き競争に突入。
長い年月の果て、
結局、無茶や不摂生をしてきた兄・健作は、
心臓病を患い、
医者から「持って、1ヶ月!」
と宣告されます。
全てに用心深く頭のいい弟・康造に軍配が上がりました。
このまま死んだら、
遺族は路頭に迷います。
定職に就かずプラプラしてる2人の道楽息子が心配なあまり、
弁護士を呼び、弟に遺産を半分、息子たちに分けて欲しいと頼みに行きます。
弟さえウンと言えば、すぐにでも書類の書き換えができる状態。
弟は考えさせて欲しいと言ったきり。
健作は弁護士に言います。
「康造のやつ、わしが余命幾ばくもないのを見抜いて、先延ばし作戦をしてきた。
健一たちにムダ遣いされるのを嫌がって譲らないつもりだ」
ところが、その話し合いのあった晩に、
康造は殺されてしまいます。
健作は心底悲しみます。
「康造、可哀想に。
あれだけ長生きを頑張ってきたのに、俺より先に逝くなんて」
そんな健作老人の感傷とは裏腹に、
早くも、息子たちの勝利ムードが漂い、
両家の人間関係は険悪になります。
お金だけで繋がった家族
サイテーな息子たち、養子養女たちです。
松本清張の小説と一緒。
ろくな人間が出てきません。
唯一、人間らしいのが健作老人。
自分で稼ぐことを知らない者たちの集まり。
桂子の夫・芳雄だけは、
実業家なので生活能力はあります。
その辺は、康造ばかりか健作も感心していて、
「この家の中でまともなのは、鳩野芳雄だけだ」
と言います。
ですが、この芳雄も、
超美人の奥さん・桂子が好きすぎて頭が上がらず、
甘やかし放題。
康造はケチというか締まり屋。
手提げ金庫の小銭が、毎週少しずつ減っていくのに気づいてました。
芳雄に相談します。
「それは奇妙ですね。我が家でお金を取ろうと思えば、いくらでも取れるのに、なぜ百円単位で取っていくんでしょう?
僕の財布にも最低でも10万円は入ってます」
私はこの芳雄の発言にビビりました。
最低でも10万。
今から50年も前の10万円ってどれくらいよ?(笑)
ケチすぎる謎の小銭泥棒。
「犯人はわしが気づかないとでも思っているのかな?
わしは例え百円たりとも、この家からお金がなくなるのを許すわけにはいかない。
犯人を見つける何かいい知恵はないかね?」
やっぱり金持ちはケチなんですね。
康造老人のようなメンタルでないと、
資産家は勤まらない⁈
頑張って頑張って
長生き競争に勝った康造老人も、
あっけなくピストルで殺されました。
健作老人が勝ちました。
このまま、遺産を全部相続すれば何の問題もなかったのに、
なのに、
あんまり息子たちが金の亡者すぎました。
康造の家族にも財産を半分、
分けようとしたら、
「お父さん、そんなことしなくていいです。
だって、逆のことを頼んだ時、断られたんですから分けてやる必要なんてありませんよ!」
反対したのは、健一たちだけじゃありません。
弁護士の友達・明智小五郎も止めました。
康造老人が殺された意味を考えてください。
犯人はあなたに遺産を相続して欲しいのです。
どうか、少し待ってください。
てっきり半分分けてもらえると思ってた良助は、
慌てます。
「僕は叔父さんを尊敬してました。父よりも立派だと。だけど結局、分けるのが惜しくなったんですね。
見損ないました」
これで一本気な健作はキレました。
「なんて情けないことを言うのだ、どいつもこいつも!!」💢
健作老人ならずとも、
ほんと、丈二の発言や良助の発言は情けないです。
弁護士、明智の反対を押し切り、
その日のうちに判子を押すと言い、大騒ぎ。
同情しなくてもいいのに、
余計なことをしたせいで
自室から弁護士のいる階まで
エレベーターで移動中、
ナイフで刺されて死にました。