こんばんは。

稲葉の白兎です。

ここ一週間、めちゃくちゃな猛暑です。

日差しの中を歩くと、
眩しい、暑い、痛いです。

どうでもいいですけど、
本格推理小説の季節は、
圧倒的に夏が多い気がします。

「能面殺人事件」は真夏でした。
クーラーとかなかったですね。(^^;

吹雪の山荘もあることはあるのですが。

行動に制約を作りたくないのでしょうね。

「人狼城の恐怖」は6月です。

渓谷を隔てた向かいの城に、
お互いSOSを発信するのですが、
なぜか暗く静まりかえってる。

本当に隣の城に行き来はできないものか?

一応本格推理小説なので、
ちゃんと、大がかりな城の構造上のトリックは存在しました。
ヒントは、そこかしこにさりげなく掲示されてます。

探偵編ではさらに露骨にヒントをくれてます。
それでも、気がつかない。

どちらの団体も、ピクニックなど外出したりしてますが、
この牧歌的さに油断してしまうのですが、
実に素晴らしい伏線なんですよね。

読めばわかりますが、
どちらの城でも、似たような殺人鬼が出ます。
そいつは死体の生首をちょん切ったり
甲冑を着て暴れ回ったりします。

その行動量、体力、神出鬼没さと言ったら、
絶対に一人の人間の犯行として限界があり過ぎます。
犯人は誰か?
というのは、重要でないです。
考えてもわからないので。

誰か特定の人とするには、あまりにも手際が良すぎるんです。
複数犯でないと不可能に見えます。

城に到着するまでは、まどろっこしいですが、
一旦、事件が起きると、
次は何⁈
もうページをサッサかめくらずにはいられません。

ので、
分厚さにひるむことなく安心して手に取ってくださいね。
アガサ・クリスティの最新作だと思って。

そうそう、動機です。

城に集まった人々を、
一人ずつ、
無残に殺していくんです。
最初に死んだほうがマシというくらい、
後の生き残った人たちは、
精神的に追い詰められます。

ドイツ側のマリカ・クルトは、
疑心暗鬼になって、単独行動をとり、
プッツンといっちゃいます。

フランス側のアノー医師は、
大団円で感情が全てなくなって廃人同様になります。

フランス側のローラントは、
度重なる不可能犯罪に
人狼の仕業と確信を持ってしまったり‥。

動機は意外性ありましたね。
斬新な動機です。

シユライヒヤー夫人の息子と紹介された仮面を被った不気味なラインハルト少年と大いに関係があります。

驚天動地の城のトリックに加え、
参加メンバーのミッシングリンク。

そして気になる人狼は?

死体を乗っ取り、
何食わぬ顔でさも今までの人物のように振る舞います。

いたんです、人狼は。

「解決編」に乗っ取っていた体が誰かわかります。
しかし、読み直しても、
その確信や言動はありませんでした。

唯一、あるとしたら
3日目の朝、城が封鎖され
シユライヒヤー伯爵が

「この中に身分を偽って参加している者がいる」

と詮議をした時です。

ローラントは焦りました。
サロモン警部の正体がバレたと思ったのです。

意外や意外、シユライヒヤー伯爵はズバリ、
ランズマンを指さしました。

その時は気がつきませんでしたが、
恐らく人狼も焦ったはずです。

シユライヒヤー伯爵に変なこと言われて、
一同は動揺しますが

なんか動揺の仕方が不自然だなと印象があった人物がいました。

それは人狼だったからなんですね。
本当のところはわかりませんが。