こんばんは。
稲葉の白兎です。
最近、海外の古典推理小説を手に入れました。
作者はイギリスのクロフツ。
フレンチ警部シリーズでおなじみの、
五本の指の一人。
アリバイトリックの名作「樽」
が有名です。
文体が松本清張に似ています。
長い長い「人狼城の恐怖」も
あと2、3回で終わらせよーと思います。
相似形のように2つの城で起こる殺人事件。
ドイツ側のテオドール・レーゼ青年の聴き取り記録と、
フランス側のローラント・ゲルケン弁護士の日記を
タイムテーブルで整理すると、
ほぼ同時期。六月の某日。
城は双子ですが、
それぞれのツアー客に双子はいません。
探偵編で明確になります。
知り合いはいます。
フェラグート教授とミユーラー教師は、
ハーメルンの笛吹き事件の共同研究者です。
しかし、この二人は自分たちが同時期に城に出かけてることを知りません。
お互い、向き合った城に助けを呼ぼうと試みますが、
向かいの城は、いつも真っ暗。
ドイツ側は、青の狼城に対し、火を焚いたりして
モールス信号を送りますが、
無反応。
一方、フランス側も、色々やってます。
アノー医師が屋上に設置されてる石弓を
銀の狼城に向けて飛ばそうと言います。
モースはシユライヒヤー伯爵に怒られるから嫌だと言います。
やるだけやろうということになりますが、
結局、矢はまったく届かず垂直に落ちてしまいます。
自分たちの存在は外部に届かず、
反対側のお城にすら届きません。
明かり1つ感知しないのです。
渓谷が邪魔して、互いの城にまったく行き来できません。
声も聞こえません。
事件関係者に双子はいます。
ローラントの恋人ローズの祖母は双子です。
その片方はドイツ編にも出てきます。
テオドールにツアーの途中で怪しげな薬を渡します。
「困ったことがあったらこの薬を飲みなさい」
ローズの祖母はジプシー占いをしていて、
ナチスドイツの人狼開発に無理やり協力させられています。
リケ博士と一緒です。
占いの的中率は高く、
ジプシーの中ではお金持ちです。
人狼の鍵を握るのはこの3人ですが、
探偵が調査に乗り出す頃には、
事故で死んでいました。
ローズは日記だけ渡して失踪。
探偵は敵に先回りされたと悟り、
テオドールの入院してる精神病院の見張りを強化させます。
サロモン警部に委嘱殺人を託したローラントの叔父は自殺。
サロンの理事の一人でした。
訪問メンバーの人選はこの人がやっています。
そのくせアルザス人ではない事を理由に
サロモン警部を使節団に加えるのを最後まで反対してました。
テルセ検事はどこまで人狼に関与していたのか?なぜサロモン警部をローラントの叔父を脅迫してまで「アルザス独立サロン」の会員に仕立て上げ、人狼城に派遣したのか?
本当に国税局職員の捜索のためだけにローラントにサロモンを紹介し、人狼城に行かせたのか?
テルセ検事は極度のアル中に罹っており、
事情聴取できませんでした。
パリの敏腕検事の面影はどこにもなく‥。
この人はシロだと言えそうです。
ローラントの日記にある通り、
信用のおける幼馴染みで
いわゆる「いい人」なのです。
よくあるエリートの悲劇ですね。
フランス編は、
人狼と殺人鬼を分けて考える必要がありそうです。