こんばんは。

稲葉の白兎です。

オカルトを混ぜた本格推理小説
「人狼城の恐怖」。(講談社)

探偵編の外伝エピソードに出てくる
サン=ジェルマン伯爵。

中世フランスの社交界に突如として現れたサンジェルマン伯爵は、
時の権力者ルイ15世と、
その公娼・ポンパドール公爵夫人の会話に出てきました。

とにかく貴婦人たちにモテモテ。

何でもない指輪をダイヤに変えたり、

歴史的瞬間に立ち会ったと言ってみたり 、

優れた知性、並外れた記憶力。
上品な物腰。

ある人は山師だの大ボラ吹きと言うが、
決して人を不愉快にさせる人物ではない 。

6か国語を自由自在に話すことができる。

輪の中心人物で彼の周りは人が群がる。

若さの秘訣は
エリクシールという名の養命水を飲んでいるとか。

哲学者ヴォルテールに言わせると
「彼はあらゆる事を知っている」

賢者の石を持っているのではないか?
という噂もある。

いわゆる天才ですね。

それらを寝室でポンパドールから聞いたルイ15世は、
「近々、世は彼に頼みごとをしようと思う」
と彼女に打ち明けます。

何を頼むのか?

それは「ハーメルンの笛吹き」と決して無関係ではないことです。

サン=ジェルマン伯爵は、
途方もない人物ですが、

フィクションではなく、
フランスの宮廷に現れたことは確かです。

そして、ルイ15世が政治的な頼みごとを彼にしたのも、
本当のことのようです。

しかし、


誰もサン=ジェルマン伯爵の素性をしりません。



推定年齢300歳。
実際は50才程度にしか見えなかったそう。

ジャンヌダルクに従い、数々の武功を挙げた
ジル・ド・レーとは、親友のような間柄だったと、言ってのけます。

しかし、レーは、退役後、
少年誘拐と虐殺に手を染め、
ついに死刑を言い渡されます。

青髭公というホラーの主人公になる程です。

その前日、レーの洞窟をサン=ジェルマン伯爵が訪ねてきました。

これは史実ではないかもしれません。

あまりの変わりように残念がります。
昔の勇敢な面影はどこにもなく、
狂気に走った老いぼれの残骸があるのみ。