こんばんは。
稲葉の白兎です。
「人狼城の恐怖」は4冊で成り立つ本格推理小説。
それぞれの冒頭には、本編と直接関係ない外伝みたいな小さなエピソードが載っています。
その中の1つで
グリム童話の「ハーメルンの笛吹き男」の話が出てきます。
大抵の人は知ってると思います。
ただ、時々「ブレーメンの音楽隊」と混同する人がたまにいます。
話はまったく違います。
(ブレーメンはニワトリとか動物の話)
ハーメルンには、思い入れがあります。
なぜなら、小4の時の学芸会の出し物が
実に「ハーメルンの笛吹き男」でありました。
劇でも面白い話でしたよ。
ある町では、ネズミの被害に手を焼いていました。
困った市長は、ネズミ退治した者には懸賞金をつけると発表。
そこへ道化のようなヘンテコな格好の男が現れ
「ネズミを退治してご覧にいれます。そのかわり、
約束の金貨は頂きますよ」
と報酬を約束させました。
笛を吹くと、ネズミは全部川に落ちて溺れ死にしました。
町の人は大喜び。
ところが、あまりにあっけなく笛を吹いただけで退治したものだから、市長は急にお金をやるのが惜しくなりました。
そして男を侮辱しました。
男は、ある日、再び町に現れ、笛を吹きました。
そしたら、子供が次々と飛び出して、男についていきました。
で、そのまま帰ってきませんでした。
この話が実話を元にしてるというのは、
「人狼城」で知りました。
西洋の童話は日本に比べて残酷だと思います。
「もう2度としません」で許すというパターンではないからです。
約束を破るとどういうことになるか、
という教訓にしては、結末がキツすぎますね。
で、この町の子供が130人消えたというのは本当らしいです。
では、子供たちはどこへ連れて行かれたのか?
子供十字軍説
ペスト死亡説
など、さまさまな解釈があるようですが、
作者は、人狼城向けに独自の推理を展開。
ヒントは、足の不自由な子供だけが返されたことにあります。
返されたというより、脱落した、と言ったほうが
自然ですが。
ハーメルンの笛吹きのエピソードは、
人狼城の恐怖の骨幹をなしています。
この話の他に、
中世のとある貴族が復讐のため狼男に変身した「狼男」の話、
キリストを刺した槍を持ったとされるローマ兵士・ロンギヌスの話、
青髭公の物語の土台となったジルドレ将軍の処刑前夜の話、
フランスの社交界に突如現れた謎のサン=ジェルマン伯爵の話が出てきます。
やがて不老不死の話になります。
1つ1つはバラバラですが、
密接につながっています。
ドイツ編に出てくるフェラグート教授は、
フランスのジークムント・ミユーラー教師と共に、
「ハーメルンの笛吹き男」の研究をしていて、
子供たちが消失した理由など、
ヨーロッパ中を揺るがす発見をしたと周囲の人に話していました。
案外、こんなところに、
銀の狼城の犠牲者として選ばれた動機があるのかもしれません。
一番気に入ったエピソードは、
サンジェルマン伯爵です。
世界史で習いたかったです。