こんばんは。
稲葉の白兎です。
世界一長い本格推理小説「人狼城の恐怖」。
二階堂黎人作。
キーワードは双子。
ドイツ側に立っているのは、銀の狼城。
フランス側に立っているのは、青の狼城。
二つの城は双子で、国境で対峙しているのですが、
川を挟んで断崖の上に立っています。
窓を開けると、お互いの城が見えるという仕組みです。
その双子の城は、誰がいつ頃建てたのかはわかりません。
ただ、持ち主はハッキリしています。
どちらも伯爵家です。
フランス編の被害者となる使節団は、
「アルザス独立サロン」という高級会員制クラブの代表メンバー。
青の狼城の持ち主は、シユライヒヤー伯爵という名前で、
サロンの趣旨であるアルザス地方の独立に理解を示しており
サロンの高額寄付者です。
日頃の理解と寄付に敬意を払い、
表敬訪問に向かうメンバーは7人。
モース‥太った食いしん坊
シャリス夫人‥金持ちの未亡人
クロード‥その恋人。キザな実業家。
アノー医師‥臆病な皮膚科医
ミューラー‥歴史教師。老人。
サロモン警部‥身分を隠して参加
ローラント‥若い弁護士。サロモン警部に頼まれて参加。今回の主人公。
ローラントはドイツの国境に近いストラスブールに事務所を構える若手弁護士。
サロモン警部に頼まれて使節団メンバーに加わります。
サロモン警部の目的は、彼らを除く5人の中に、
「人狼」が潜んでいる確証をつかんだので、これを始末すること。
人狼は、ナチスドイツが開発した不死身の兵士。
そのアストラル兵士の開発に失敗した失敗作が
人狼というわけです。
死体に潜り込み、蘇生すると言う。
その恐ろしい人間秘密兵器・人狼が
アルザス独立サロンの会員の中に紛れ込みました。
死体から死体へと移動し、一旦その死体に入ると、死者は蘇り、記憶まで自分のモノにします。
そして、その人物のまま、生活をします。
ただ、ずっと何年も同じ体に入っているのは無理で、
新たに死体を手に入れなくてはなりません。
そのために死体に巡り合わないと、
生きている人間を殺すこともあります。
今度の人狼は、アルザス独立サロンのメンバーの一人に取付きました。
正体がバレそうになったので、
表敬訪問という隠れ蓑を利用して、
ドイツに逃げ込もうとします。
誰が人狼かはわかりません。
ただ、表敬訪問の前日にサロンに滞在していたということだけはわかっているのです。
それを見破って欲しいとローラントに頼み込むのです。
アルザス独立サロンは厳しい会員規則と審査があり、サロモンは急遽、ニセ会員になります。
そして表敬訪問メンバーに加わります。
もちろん、これは二人だけの秘密です。
ナチスドイツの亡霊を始末するという、使命に燃えるローラント。
彼の恋人は、青の狼城に行くことに反対します。
嫌な予感がすると言うのです。
ハッキリ言えば、生きて戻ることはないということです。
このフランス編は、ローラント・ゲルケン弁護士の日記で出来ています。