こんばんは。

稲葉の白兎です。

二階堂黎人の「人狼城の恐怖」。

ツアーに出かけたきり、戻らなくなった10人くらいの2組のグループの共通点は、

最終目的地が「人狼城」。

ドイツは観光団。
フランスは使節団。

この話は、
ドイツ編、フランス編、探偵編、解決編という4冊で完成という作品です。

例えばドイツ編を読むと、
事件は起こるのだけど
犯人は誰かまでは書かれていません。

事件だけ起きて終わります。
観光団が一人ずつ全員殺されます。

フランス編も同じ。

しかもフランス編には人狼が出てきます。

人狼ゲームの人狼とは全く違います。
例えて言うなら、不死身のゾンビ。

フランス編も、使節団が全員、哀れな最後を遂げます。
犯人は全くわかりません。

強いて言うなら、どう考えても城の住人、ホストが怪しいのですが、
密室殺人の謎が解けないので、推測の域を出ません。

そして、3編目にあたる探偵編で、初めて探偵役の主人公が登場します。

失踪事件を新聞で知り、解決に乗り出します。
ちなみに探偵は日本に住む日本人です。

あらゆるコネを使い、フランスに渡仏します。

この章でも、ヒントは出ますが解決には至りません。

四部構成の、ものすごく長大な作品で、
ギネス認定されてるものと思います。

世界一長い本格推理小説?

私の場合、ドイツ編から先に読みましたが
作者に言わせると、フランスとドイツ、
どちらが先でも構わないそう。

好みにもよりますが
内容的にはフランス編のほうが好みでした。

理由は、
フランスの使節団のほうが、
人数が少ないこと。7人です。
女性は一人だけということ。
主人公の若手弁護士に感情移入できたこと。
人狼とかアストラル兵士とか、謎に満ちたアイテムが登場すること、
密室殺人の内容が濃いこと、
ストーリーが面白いことなどです。

ドイツ編もフランス編も
「双子」というものが一枚噛んでいます。

何しろ、事件そのものが相似形のようです。

全員死ぬこと、
殺害方法が似ている、
刑事や歴史学者など共通する肩書きの登場人物、ナチスドイツ関連のオカルト的背景、
主人公が若い男性、
双子の占い師の老婆、
城の住人のキャラクター

など共通項があります。

もちろんそれは偶然ではなく二つの事件は、
深く関連しています。