こんばんは。
ミステリ案内人・稲葉の白兎です。
マリーセレスト号事件の話、いかがでしたか?
忽然と7人の乗組員全員が消えた帆船マリーセレスト号。
海上を漂う無人の幽霊船。
バミューダトライアングルもそうですけど、
人間消失に優るミステリはありません。
話に尾ヒレがついた感は否めませんが、
一体彼らはどこでどうなったか?
江戸川乱歩の本格推理小説は、
消失トリックを扱ったものが多く、
だからこそ、私めを引きつけるのです。
「悪魔の紋章」では、八幡の藪知らずのお化け屋敷で、
犯人と格闘した小池助手が殺されてしまいますが、出口には探偵が固めてたのに犯人は消え失せたのです。
「三角館の恐怖」のエレベーターでは、老人が殺されてましたが、
犯人の脱出は不可能でした。
出口には、明智や弁護士など、複数の人間がエレベーターが開いた瞬間を見ていて、
中で老人が殺されてました。
乗る時にも、1人で乗ったという証言があります。
犯人はどこでエレベーターに乗って、どの階で降りたのでしょう?
「影男」では、秘密クラブで出た死人をひとり、
古井戸に沈め、
この世から消してしまいます。
よほどのことがない限り、死体が発見されることはありません。
これは、最初からトリックの種明かしをしてますが、
それでも不思議な気がします。
それだけ、1人の人間を消すというのは、
困難な事業だと思うのです。
二階堂黎人の「人狼城の恐怖」はすごいです。
ドイツの観光団ツアー客約12名ほどが
出かけたきり1人も戻りません。
そしてフランスのアルザス地方の「アルザス独立サロン」のメンバー7人も、
スポンサーの貴族の城を表敬訪問しますが、
これも1人も戻りません。
そして、この二つのグループは、
失踪した時期が
非常に接近していました。
実に不思議ではありませんか?
正確に言うと、ドイツの観光団は、1人だけ生還しました。
でも、それは精神病院のベッドの上なのでした。
院長が他のメンバーの消息を訊くと、
全員、とある最終観光地の城で命を落としたとのこと。
その話も、整合性の取れないもので
信用に値するかどうかは疑問とのこと。
何しろ半分、気が狂っているのです。
この話は、ハーメルンの笛吹きの童話を扱っています。
ハーメルンの笛吹きも、
子供たちが笛吹き男の後をくっついて歩いて、
行方不明になり、
足の悪い男の子だけが一人帰ってきました。
類似性があるということです。
ある意味、殺人よりも、
消失事件のほうが、
興味を掻き立てられます。
殺人には死体があるからです。
でも消失のほうは手がかりがありません。
時間が経つほどに
不思議度が増していきます。