こんばんは。
稲葉の白兎です。
さくらんぼと小玉スイカが出回っております。
どちらも大好物です。
さて、江戸川乱歩の「影男」は傑作であります。
理由は、全てのエンターテイメントがこの作品に詰まっているからです。
乱歩集大成と言っていいでしょう。
妙な怪奇性もなく、正統派なのもいいですね。
殺人は一件しか出てきません。
死体隠し、覗き、裸の女性を集めた桃源郷、
密室殺人講義、誘拐、密会、密通、
変装、ペンネーム、泥沼地獄。
影男の自由さ、敏捷さ、大らかさは、
他のピカレスクにはない魅力があります。
「影男」は、我々庶民の願望が多少入っています。
犯罪は悪いことですが、影男のやってることは、
暗さがあまりないですね。
人間に魅力があるんです。
素直に憧れる感じです。
端的に悪のヒーローですね。
二十面相みたいに、目立ちたがり屋ではなく
わけわからない事はしません。
少年趣味、同性愛もなし。
予告、犯行声明もなし。
部下のたぐいはいません。
セコさがない。
共通項は、
変装の名人で、血を見るのは好きじゃない。
「影男」というあだ名が何より面白いです。
松本清張もそうですが、
タイトルに造語が多いですね。
暗黒星
大暗室
人間豹
黒蜥蜴
化人幻戯
淫獣
鏡地獄
人間椅子
屋根裏の散歩者
電人M
夜光怪人
一方、松本清張も、
溺れ谷
聖獣配列
犯罪広告
人間水域
彩霧
状況曲線
雑草群落
陸行水行
迷走地図
屈折回路
など、オリジナルの熟語が目立ちます。
タイトルに凝るタイプですね。
最初にタイトルを考え、
次にそのタイトルに合った小説を書く‥。
清張センセはそういうスタイルだったと聞いてます。
乱歩もそうかもしれません。