こんばんは。

稲葉の白兎です。

🐇

ダンディな俳優天知茂が8年間にもわたり、明智小五郎シリーズに出てました。

お亡くなりになってから、陣内孝則さんが明智を務めたこともあります。

天知茂の小五郎は、
ほとんどの本格作品を手がけてましたね。

緑衣の鬼、悪魔の紋章、暗黒星、吸血鬼、
十字路、黄金仮面、三角館の恐怖、化人幻戯‥

影男や大暗室は、
さぞかし映像化しにくいでしょうね

ネックは地下帝国ですね。
セットが大変。
美術ともいいますが。

「大暗室」は話が長いので、
余計に作りにくいですね。
美青年を2人も用意しなくてはならないし。

「影男」は長編の冒険もの。
これも、私の中で一、二を争う作品です。

二つの作品に男の桃源郷が出て来ますが、
こっちのほうは、ハッキリ言ってどうでもいいですね。
最初こそ度肝を抜かれましたが。

影男を好きな理由は、
単純に面白い男だからです。

二十面相や、大暗室の大曽根竜次のやっていることは、どこかバカバカしく、行き当たりバッタリに感じますが、
「影男」のやることは、
計画的で、達成率の高いものです。
すごくリアリズムなんです。

それもそのはず。
人の秘密を嗅ぎつけて、「脅迫」して、
お金を手に入れるからです。

ある時はSMクラブに興じる社長を脅迫。

ある時は、会員制の秘密夫人クラブに潜入し、
事故死体の処理をし、謝礼をもらいます。

それら自分が手がけた事件を小説に書き、
フィクションと見せかけて、原稿料を稼ぎます。

小説家としてはもちろん、いくつかの変名を持ち、使い分けています。

稼いだお金で土地などを買い、犯罪に役立てます。

ある時は、不幸な女の子を助けます。

変装の名人。
頭がいい
おそらく30歳くらいで、そこそこの美男子。

どうですか、マトモな人ではないけれども、
好人物です。
シビレます。

基本、人殺しはしないし、ホモじゃありません(笑)

私はこの「影男」の自由さが好きです。

こんな面白い小説はないし、影男も2人といないキャラクターです。

ところが乱歩の作品では影男はマイナーで、人気もその内容に比べて低いです。

秘密夫人クラブのエピソードも面白かったですが、
殺人事務所所長・須原正の仲間になるエピソードも好きです。

仲間になると言っても、アイデアを出してコンサル料をもらうだけです。

須原正は嫌な男です。
殺人事務所を経営してるので、いい人なワケがあるはずもないですね。

嫌な男と言ったのは、仕事のことじゃなく、
執念深さです。

熱心に誘った挙句、アイデアを出してもらったくせに、影男がちょっと遠ざかっただけで、
それを恨んで始末しようとしたからです。

須原も頭がいいし、度胸がありますが、
執念深すぎて友達にしたくないですね。

そしてある日、影男は須原の事でクサクサしていた時、遊蕩児になって、
銀座のクラブで豪遊します。
そこで、また実に不思議な男に会います。

50万の入場料を払えば、面白い、 今まで見た事もないようなところへ案内すると言います。

見た目はチョビヒゲをした50男です。

好奇心の強い影男のことですから、当然OK🙆‍♀️で
ヒゲ男に案内をしてもらいます。

このつかみどころのない紳士こそ、
桃源郷の持ち主でした。