こんばんは。

稲葉の白兎です。

昨日の大河ドラマ「西郷どん」はめちゃよかったです。
大久保と西郷の友情物語vsアイカナとの夫婦物語。
西郷さん、3年も島に流されてたんだ〜。
その濃い3年が、番組では2、3週しかやらないなんて、なんか切ないなあ。

大久保は、西郷の心の揺さぶり方も学習したみたいです。
前は押すの一点張りだったけど、
手紙を使い、敢えて政治の話はせず、亡き殿の刀を持って、奥さん使って渡す間接的なやり口。

長老の深謀遠慮で、長男でも菊次郎にしなさいというのは泣けます。

偉大な人の嫁というのは寂しいものです。



昨日の「大暗室」の続きです。

ニセ辻堂が星野を亡き者にしようと、財宝の暗号文書にかこつけて甲府の山へ誘い込みました。

男は、老人ではなく、まだ二十代半ばの美青年。
しかも殺人事務所の所長だと名乗ります。

星野が怖気付いてると思ったら、
相手もゲラゲラ笑いだします。

「僕もニセモノなんだよ」
星野は、カツラ、その他のアイテムを取り去ります。
同じ歳くらいの、こちらもハンサムな青年。
「久しぶりだね、大野木隆一くん」

「お、お前は有村清‥」

「なぜ貴様がそこにいるんだ」

有村は星野の娘、真弓は自分の恋人で、
先日から辻堂おじさんの様子がおかしいと聞いて、先手を打った次第。

「そうか、それなら話は早い。貴様は星野の身代わりに殺されたいのだな」

敵も落ち着いたもの。開き直ります。

「貴様にはまさか拳銃の用意はあるまい」
「ないね。そんなものに頼るほどヤワではないんで」

大野木はカッとして拳銃をぶっ放そうとしますが、空砲でした。
有村がこっそり弾を抜いておいたのです。

腕で勝負となります。
美青年・大野木は、意外と腕力もあり、互角ながら、有村を崖まで追い詰めます。
最後は柔道の寝技で逆転、大野木を投げ飛ばします。

勢い余って大野木は真っ逆さまに谷底へ墜落します。
落ちたら助からない高さです。

ところが大野木は生きていました。
木の枝に引っかかってたのです。
悪運の強い男です。 

「おーい、助けてくれ」

引っかかったとは言え、体重がいくらも持ちません。
「早く助けろ、人殺し!」
有村は最初から助ける気ではあったけれど、からかわずにはいられません。
「助けないこともないが、条件がある。辻堂老人と暗号文書を返すこと。星野一家には二度と近づかないこと」
「わかった、わかった」
有村のお陰で助け出された大野木。

悪人は珍しく感謝の言葉を述べて塩らしく振るまいます。
東京に帰る電車で大野木はトイレに席を立ちます。

小説や映画で登場人物がトイレに行くと言う時は、必ず何かあります。
細工、逃亡‥。

待てど暮らせど大野木は戻らず、代わりに置き手紙がありました。

「俺はこのままズラかる。辻堂の老いぼれも暗号返さない。いずれ、伊賀屋の埋蔵金は手に入れる。星野と真弓は部下に手配して拉致する。結局最後の勝利はこっちのものだったね」

勝利宣言どおりになります。

地団駄を踏んでも後の祭りでした。
「悪人めー」


この大暗室には、何回「悪人」というセリフが出てくることか。

有村は事の経緯を、
使用人であり、養父であり
軍師でもある久留須に報告します。

大曽根五郎によって海の上と、有明邸の火事と二度も殺されかけた、あの久留須です。

奇跡的に2度も助かったクルス老人でしたが、火事の際、二目と見られぬ火傷を顔に負って、
仮面をかぶっています。

もしかしたら、犬神家の一族のスケキヨの仮面の原型かも知れません。

「若、前から気になってたけども、その大野木という青年はこの男に似てませんか?」
クルスは、大曽根の古い写真を見せます。

「ジイ、そっくりだよ、この男にそっくりだ!」

大曽根と大野木の親子関係が証明された、という話ですが、
それだけではありません。

大野木は、恐ろしいくらいの美貌の持ち主の青年となっています。

ということは、大曽根五郎と彼がそっくりなら、
五郎は、美青年ということに。

誰も五郎の美形ぶりに言及していないというのも、異常かなと思いました。

「やはりそうでしたか。実は坊ちゃんにまだ知らせてないことがあります。
どうやら、父上の友定男爵のカタキの大曽根五郎の息子・大曽根竜次が大野木である可能性が濃厚です」
有村は、本名有明友之助は弟の竜ちゃんを思い出しました。
残虐なイタズラをして、よく母親に叱られていました。

「若、油断はなりません。竜次は父親以上の悪人に成長したようです。
伊賀屋の埋蔵金を手に入れたということは、相手がそれだけ強大になったということ。
さらに破格の悪事を実行する可能性があります」

「それは何としてでも阻止し、大曽根を捕まえて八つ裂きにしてやる」

クルスの予言は当たります。

竜次はこの後真弓を誘拐して星野の身柄を盾に結婚を迫り、
埋蔵金を掘り出して大金持ちになります。
その後「渦巻きの賊」と名乗って
犯罪事件を次々と起こし
世間を騒がせます。

この後は、予想できる展開で、
それこそ大曽根竜次が二十面相化していきます。

早い話が目立ちたがり屋なわけです。

すべて後手後手にまわる警察と友之助。

明智は出てきません。
あくまで2人の異父兄弟の因縁の物語になっています。