こんばんは。
稲葉の白兎です。
乱歩の長編の特徴は、わかりやすい。
読みやすい。
なんとなく結末の予想がつくけど、
ついついページをめくってしまう。
「大暗室」は特にそう。
悪玉と善玉がハッキリしています。
昨日出てきた高利貸しの辻堂老人は
善玉でしょうか?
悪玉でしょうか?
ある晩、お金を回収した帰り道、
不思議なポン引き男と出会います。
自分の親分は、殺人事務所を開いていて、
適正な報酬さえ払えば、
いつでも都合よく「仕事」をしてくれるそう。
辻堂老人は男の話に引き込まれます。
さらに、
依頼人に嫌疑はかからないし、
口は堅い。
逆に命が担保で、報酬の取りはぐれもない。
辻堂老人は、男にいろいろ質問をして、すっかり事務所のやり口が気に入ります。
そして、その日のうちに所長に会うことになりました。
殺人事務所に依頼したい件があるなんて、
善玉とは思えませんね。
場所を特定されないために目隠しをさせられ、
その事務所まで車で連れて来られます。
地下です。
「旦那、あっしがいいと言うまで目を開けてはいけませんぜ」
ポン引き男は突然、辻堂を突き飛ばし、
部屋のドアを閉めます。
目の前に男が大きな椅子に座っています。
「君が辻堂くんだね。殺人事務所へようこそ。
私はここの所長だ」
辻堂老人は所長を見て、びっくりします。
25歳くらいにしか見えない優男だからです。
(殺人事務所の所長というからどんな男かと思えば‥)
そこでちょっと油断してしまいます。
「で、君が殺したい相手は誰だ?」
((((;゚Д゚))
直球すぎる所長。
「俺は妙な言い訳が嫌いなんだ。
ここへ来たからには用事は1つ。
サッサと話してもらおうか」
辻堂老人、やや後悔。
若いからと多少あなどり過ぎました。
「君が殺したいのは従兄弟の星野じゃないのかね?」
絶句です。図星です。
「ど、ど、どうしてそれを⁈」
:(;゙゚'ω゚'):
「俺が何も知らないと思ったか?
君が高利貸しの辻堂だということはすでに調べてある。従兄弟の星野清五郎の事も知っている。
正直にきちんと話したほうが身のためだよ」
百パーセント後悔する辻堂老人。
(この所長は恐ろしい。迂闊に来るんではなかった…)
「おっしゃる通りです。ワシは星野を亡き者にしたい。」
「そうそう、その調子。
伊賀屋の埋蔵金の話だろう?」
(うわー、そこまで知ってたか!)
辻堂老人は同居してる従兄弟の星野清五郎が、
伊賀屋の埋蔵金のありかを書いた暗号を持っていて、それを丸ごと自分のものにしたいと言います。
幕府が倒されることを予想して、江戸の豪商伊賀屋は
財宝を小判に替えましたというお話です。
「辻堂くん、よく話してくれたねえ。
いいとも、星野はこちらで何とかする」
二、三、確認事項と軽い打ち合わせをします。
「あ、あのう、料金はいかほどですか?」
「ちぃっと高いよ」
「た、高い?(-。-;
さっき案内してくれた男の話では、500万からでもいいそうだと伺いましたが、できればその一番安いところでお願いしたいんじゃが」
「数千億の財宝を手に入れるのに、五百万、一千万はないだろう」
「‥‥」
「料金はね、アンタそのものだよ」
男がぶら下がってる紐を引っ張ると、床が開いて辻堂老人は、その深い穴に落ちてしまいました。
「そこで、ずっと暮らしたまえ。
殺人事務所なんて嘘の皮さ。全部、君を連れて来るためのお芝居さ。
一千万かそこらのはした金で人殺しを引き受けてくれるような上手い話があるとでも思ったのか?
ワッハッハー」
「おい、悪人! 助けてくれ! 半分やる。
何もかも半分やるから、ワシを助けてくれ。
出してくれー!」
床の蓋は閉められてしまいます。
そこへ、さっきのポン引きが出てきます。
「大将、上手くいきましたね」
「ああ。案外もろいオヤジだったよ。
俺はこの後、星野の所へ出かけるから」
「あそこには星野の娘もいるから大将もお楽しみですね」
「つまらないことを言うんじゃない。
後を頼んだよ」
完全にグルだったポン引きと所長。
ポン引きはどうやら所長の右腕クラスかと思われます。
ドラマチックな展開のピークがそこまで来ています。
彼は、辻堂老人に変装して、辻堂家に入り込みます。