こんばんは。
ミステリ案内人・稲葉の白兎です。
私の大好きな江戸川乱歩ナンバーワン作品が
「大暗室」。
悲しいことにメジャーではありません。
「パノラマ島奇譚」という作品が先にあり、
それと被ってるからです。
パノラマ島奇譚は、早い話がハーレムを作る話。
男に一千億あげると言ったら、
大抵の人はハーレム作ると思います😹。
大暗室も、最終的にはハーレム作りになります。
タイトルの通り、ややアングラな感じがミソ。
冒頭の写真は、新宿歌舞伎町のホストクラブ「ロマンス」の店内です。
総工費2億円!
ぶら下がってる黒いシャンデリアは300万だそうです。
そこに座るだけで4万円します(笑)。
今は「ロマンス」の経営者「信長」さん
以前ブログで紹介した「99%の努力はいらない」
の著者でもあります。
手にしているボトルは「ルイ13世」と言って一本二百万円だとか。
「大暗室」だーっ。
女版ハーレムですね。
信長さんは、大変気さくな方で、
様々な質問に答えてくださいました。
昔はガラケーでお客さんにメール百件送って
手が腱鞘炎になったとか。
今年、2冊ほど本を出す予定だそうで。
「いい女はドMが9割」を今日、買わせて頂きました。
なかなか本屋のレジに持って行きにくいタイトルであります。(笑)
で、「大暗室」。
主人公は大曽根五郎の二十面相。
子供版では。
例の漂流ボートで親友の有明友定男爵を撃ち殺すという悪人中の悪人。
妻と財産を譲るという破格の遺言状を書いてもらった事により、君子豹変するわけです。
この悪人ぶりに私は度肝を抜かれました。
東京に戻ったあとはヌケヌケと未亡人の前に現れ、
遺言状を見せます。
漂流ボートで体力を消耗して使用人もろとも命を落とした、という触れ込みです。
悲しみを消化してないうちから、遺言状を見せ、
結婚を迫るなんて普通じゃありません。
でも、まるで知らない仲ではないし、
いっときは、どちらにしようか悩んだほど。
女性は強引な男性に弱いとも言います。
頼りになると勘違いして、
その遺言通りにします。
最初のうちは、
猫をかぶってた大曽根。
そのうち、ゾッとするような冷たさを発見。
後悔しても後の祭り。
子供まで授かってしまいました。
ちなみに前夫との間に3歳の男児がいました。
大曽根と作った子供の名前は竜次。
この大曽根竜次こそが大人版大暗室の真の主人公となり
悪のヒーローになるのです。
父親に輪をかけた悪人へと成長。
すごくないですか、この話。
どう考えても、父親のほうが悪人だと思うのですが、
おそらくスケールでは、竜次が凌いでるんでしょうね。
五郎は、有明男爵の遺児・友之助がどうにも邪魔でした。
妻・京子の引き継いだ有明男爵の財産は、
自分の息子・竜次にそっくり継がせたいからです。
悪人のことですから、やる事は一つ。
ある日のこと。
ハンモックで遊んでいる五歳の友之助を
抱き上げて、庭の池に投げ込むのです。
( 許せよ、坊や。お前が生きてると、竜次が幸せになれないんだ)
ボチャン!
漂流ボートの悪事に比べれば、
ラクなもんです。
大人2人をいっぺんに殺すことよりはるかに簡単。
さあ、京子夫人は長男が消えて大騒ぎ。
召使いも夫も知らないと言います。
五郎は殺人者のクセに
「お前の監督不注意だ」などと責める始末。
この後、意外な人物がやってきます。
つづく。



