こんにちは。

稲葉の白兎です。

今日は、ゴールデンウィークのラスト2日ということで、
そろそろ焦り出している、
プレッシャーを感じています。

いろんな意味で。(笑)

本は、結構読んでます。✌️

紹介したくてたまらん!!

五反田のファミレスで読んだ女性週刊誌で見つけたネタも紹介したいし。


昨日の話題は、童謡殺人でしたね。
アガサ・クリスティーの
「ポケットにライ麦を」。

自分は、小説の内容より、
このマザーグース・メロディーと歌詞が好き。


今日は、また今日で話題をアッサリ覆します。

三部作シリーズ!

森村誠一
「人間の証明」
「野性の証明」
「青春の証明」

エラリー・クイーン
「Xの悲劇」
「Yの悲劇」
「Zの悲劇」

に、共通することは、何でしょうか?

端的に言うと、
3作目がどうして、そのヒットシリーズに入っちゃってるの?
と思うくらい失速してて、

箸にも棒にもかからなくて、

ファンの間から、
「それ、いらない」
「知らない」
になってること。

1作目が大ヒット!
2作目も上手くいき、前作より成功を収め、

不動の地位というやつを築きます。

周りも本人も当然、3作目に期待し、
挑戦しますが
凡作になってしまいました。

本当に要らない。

これに限りませんが、だいたい3番目というものは、ハズしてしまうものですね。

そもそも、出来不出来の前に、内容を言える人がいないわけです。

昔の大ヒットホラー映画「オーメン3」も、
ロードショーの前に、飽きて潜在客がいなくなってました。

ところが、回を追うごとにクオリティが高くなる稀なシリーズが存在します。

それも、本格ミステリで。

歌野晶午( うたのしょうご)の、
「長い家の殺人」
「白い家の殺人」
「動く家の殺人」
です。

「動く家の殺人」は圧巻。
シリーズ最高峰。

この作品をけなす人がいたら、

強がりでなければ、
よくわかっていないか、
頭、おかしいのどちらか。

出てくるシリーズ探偵は
信濃譲治。

しかも脱法ハーブ所持のアウトロー青年。

長い家のトリックは、
「おおぉ!」
そういうことか。
ソコソコいけます。

白い家は、覚えていないです。>_<
お屋敷モノでした。
可もなく不可もなく‥

そして、何気に取った第3作「動く家」。

この動くのは、家ではなく、
劇場。

小劇団にご友人のいる方や、かじった人がいれば、ものすごく入ってくると思います。

私はちょうど、アングラ劇団のメッカ、
下北沢のスズナリとかで、いくつか小劇団の
公演を観てきたので、
「ほお!」でした。

信濃譲治は、とある小劇団の制作スタッフとなります。

ちょっとタカビーですが、
仕事はソコソコできるので、劇団としては、
重宝する存在になります。

また、作中劇の台本が、ブラックなコメディー仕立てで、
思わずセリフにクスッと笑ってしまいます。

ジョンレノンを殺した犯人が
「マーク・チャップマン」とか、
太宰治が死んだのは、愛人の山崎富江と
玉川で入水したから、

という知識は、この「動く‥」で手に入れました。
いずれも、作中劇の台本台詞にあります。

そして、円形の劇場で、
上演中に役者が殺されてしまいます。

公演は中止となるも、
興行的には成功します。

そして、あっと驚くどんでん返し。

作品全体が、トリックでできています。

これは、
「長い家」と「白い家」を読んでいたからこそ味わえる、
気持ちのいい驚きです。

世界観が変わるというやつです。

信濃譲治って、
デビューした「長い家」で、
好きになれないキャラクターで出てきます。

もう、ここから、作者は仕組んでましたね。

他の三部作が失敗?なのは、狙って書いてないからですね。だから3作目でネタ切れになって、
前の2作に追いつけないものだから、酷評されるか、抹殺(無視)されます。

この「動く家‥」は、最初からこのラストを作るために、2つの「長い」と「白い」を作ったとしか思えません。
前作と全く趣向を変えて、
空中2回転捻りをやっているからです。


最初から動く家のトリックを思いついて、
「〜の家」シリーズとして持ってきたのです。

歌野晶午氏は、そういうことを平気でやる作家です。


トリックは一回限りで思い切りよく捨てて、

作品ごとに、雰囲気も趣向もジャンルも変わる。

駄作は見たことないです。

信濃譲治には、帰ってきてもらいたいと思います。

「〜の家の殺人」シリーズは、
ぜひ、この順番で読んでください。


1つの偉大なトリックのために、
シリーズを書いてしまう‥

どんだけ本格スピリットの持ち主なのか。

他では、貫井徳郎の「症候群」シリーズもそうですね。
去年映像化されましたが
「失踪症候群」「誘拐症候群」「殺人症候群」。

最後が一番いいのは、おそらく逆算して作っているのですね。