こんばんは。
松本清張ミステリ案内人・稲葉の白兎です。
昨日は、フジテレビで、天才脚本家・三谷幸喜が、見事に誰もなし得なかった作品をドラマ化してくれました。
原作を損なうことなくです。
彼の実績は「オリエント急行‥」でも証明済ですが、
まさか、「アクロイド」に挑戦するとは思いませんでした。
三谷幸喜のミステリ魂、稲葉の白兎めは、
心から敬意を表します。
野村萬斎の扮する探偵は、
洋画「オリエント急行殺人事件」に出てくるエルキュール・ポワロ役の声優さんの声に
似せていました。
こういう茶目っ気の部分も、三谷幸喜のミステリ魂、並々ならぬものがあります。
もともと、本格ミステリは、あまり映像化には向かないです。
説明が多くなるし、
登場人物は、演技がわざとらしくなるし、
キャストで犯人がわかってしまったり‥。
松本清張氏も、
本格モノは、その辺のドロドロとの融合が難しくて、社会派にならざるを得なかったのでは、と
思います。
トリックバリバリだと、
どうしても作り物っぽくなってしまいます。
そこが不満で、だったら、自分はもっとリアルな
推理小説を書きたい
ということで社会派推理小説。
それにしても、
ミステリー界のライバル
松本清張と高木彬光は、
このアガサ・クリスティの傑作「アクロイド殺し」
を超えるべく、挑んだと思われる作品があります。
オマージュと言うのでしょうか。
「ガラスの城」と
「能面殺人事件」であります。
「能面」では、作品中で、
「ロージャー・アクロイド殺しを故知に学んだ」
という表現があります。
作品中の探偵は、
海外の推理小説の大大大ファンという、
ミーハーな設定。
「どーだ、クリスティの向こうを張ったぞ!」
と、自称主役探偵は、無邪気に述べています。
両人の両作品とも、
アクロイド殺しの品種改良版、
世界初の記述様式でもって発表しています。
この作品の素晴らしさは、
キャラクター設定もそうですが、
密室アリバイトリックの構築にもあると思います。
クリスティは、決して、トリック型の作者ではありませんが、
だからこそ、カセットテープを使った単純な機械的トリックが、ものすごくスパイスが効いているのです。
フアラーズ夫人
フロラ、
ラルフ・ペイトン、
ミス・エリザベス・ラッセル、
レイモンドなどが、
日本人名で、日本人として登場したのは、
すごく愉快でした。
斉藤由貴の演じた原作名・カロラインは、
再登場して欲しいキャラクターです。
