こんばんは。

ミステリ案内人・稲葉の白兎です。

「能面殺人事件」を親友からプレゼントされたのは、
光文社のカッパノベルス版でした。

挿絵がついていて、それもかなり上手な絵です。
🖼

この挿し絵のお陰で、自分の乏しい読解力で、
漢字だらけの難しい本を読み続けることができました。

表紙も、真ん中に般若の能面
上にレインボー🌈がかかり、
jasmineのスペルがありました。

虹は虹だと思わず、単なるデザインと思ってました。
jasmineの文字が小さくて、気がつかなかったです。

3人の犠牲者には、全員、ジャスミンの香水が振りかけられていました。

だから、jasmine。

では虹は?

虹は虹でも、ただの虹ではありません。
二重の虹です。

石狩検事の冒頭の手記に、

自分は若い時、夏の海岸である若く美しい人と恋に落ちた。

愛し合った時、ちょうど、夕立があり、
2人は二重の虹を一緒に眺めました。

この二重の虹は、2人は運命を感じ、
てっきり天から祝福されたものと思ったようです。2人は涙を流して喜びあいました。

しかし、海外では別な説があって、

二重の虹を同時に眺めた恋人同士は、
その恋は成就しない、と。💔

やがて、2人は運命に弄ばれ、引き裂かれました。
以来、石狩弘之は、逃げるようにして検事の道を選び、
鬼検事として、生涯独身でその身を捧げてきました。

その彼が、何かの力に誘われるようにして、
三浦海岸を散歩していたら、いきなり篠突く雨。

やがて、クッキリとした二重の虹を目撃。🌈

検事はその場に立ち尽くして、
30年以来の思い出に浸ります。
あの時、僕は‥

そうこう歩いてるうち、
死んだ親友の息子と再会。
それが、C家の書生でした。

C家は三浦海岸にありました。

「君がこの家に厄介になってるとは思わなかったね」
と驚きます。

「二重の虹が僕たちを引き合わせたんだね」

2人は、予期せぬ邂逅を喜び、
翌日、縁日に出かけ、童心に帰って
旧交を温めます。

そして、別れ際C家まで来た時に、
例の不気味な般若の面をつけた何者かが二階の窓から顔を出して、
ゲラゲラ笑いだしました。

その面は、由来こそありますが、
呪いの面で、演能には用いられなくなったいわくつきの能面。
ふだんはC家の書斎のガラスケースに仕舞われています。

検事は、気になって、書生にあるじを紹介してと頼みます。
書生が取り次ぐと、アッサリOK。

そして、怪奇現象を説明すると、
そこの主人は予想以上に反応してしまいました。

能面は元の場所に何事もなかったかのように収められていたのですが、
家族の誰かが故意にかぶったことは明らか。

翌日、主人は書生に「嫌な予感がする」と、
私立探偵の知り合いはいないか、
いたら内偵を頼みたいと言ってきました。

そこから事件の幕が切って落とされます。

何が言いたいかというと、
二重の虹です。

検事は生涯二度、二重の虹を見ました。

初恋の恋人と一緒に見た時と、
30年後の今。
しかも場所は、同じ海岸。

つまり、二重の虹は、事件の大事なプロローグです。

その本を読んだ時、
二重の虹があることを初めて知りました。

何だ、二重の虹って?

そんな虹見たことないわーーっ!

幸運なの?
悲劇なの?

何年か前に二重の虹を見ました。🌈
おそらく二重の虹かと。

コレが例の二重の虹かあー。

もっと早く見たかったなぁ。(笑)


この話は、4人の女性が出てきます。
20代後半の若い女性が2人、
それから、精神病院に入院している元当主の夫人ら老女が2人。

うち、3人が、情熱的な恋に落ち、
3組とも悲劇で終わってます。

この事件全体に、恋の炎が炎上し、
愛憎劇が繰り広げられました。

陳腐ですが、事件の陰に女ありです。