こんばんは。
新宿では、桜は散ってしまったそう。
あらぁ、早いこと。
すごいでしょ。
まだまだ花は沢山くっついております。
都心から離れると、こんな隠れた名所があります。
稲葉の白兎です。
空前絶後のトリック満載の
「能面殺人事件」。
作者は故・高木彬光。
推理の鬼、高木彬光は、デビューのきっかけは
「う・ら・な・い」
易者に「作家の相がある、小説を書きなさい」と言われたのが、きっかけ。
そう言われて、実行に移すのはすごいですね。
さて、トリック満載の本作、どこから何を話せばいいのやら。
そして、空前絶後の殺害方法とは?
それは、外傷の現れない殺害方法。
死体に振りかかっているジャスミンの香水がヒント。
それより、何より、構成がすごい。
石狩検事の手記に始まり、
その親友の忘れ形見、
C家の書生の手記が多数を占め、
最後にまた石狩検事の手記で終わります。
第三者目線の表現がどこにもない!
Aの手記↓
Bの手記↓
Aの手記
こんな構成の小説はないと思います。
職業探偵は出てきません。
C家に居候している書生の親友が、
たまたま三浦海岸のホテルに滞在していて、
お面を被ったイタズラにC家の当主が怯えて、
「誰か私立探偵を紹介して」
の要望に、書生は、親友を紹介。
その親友は、ヒマなのと、頭はいいのと、
多少目立ちたがり屋なので、うってつけと映ったのですね。
実際、書生の友人の申し出に一も二もなく乗ってしまうわけです。
で、話がまとまりかけた時、
当の主人から電話があり、切羽詰まった雰囲気で、
「また、例の鬼女が現れた、至急、来て欲しい」
と必死の依頼。
2人は胸騒ぎがして急行しますが、
時すでに遅く、彼は死体となっていました。
葬儀屋から問い合わせがあり、C家から3つの棺の注文があったとのこと。
にわか探偵は、長男の反対を押し切って、
警察に連絡。
担当所長のほかに、石狩検事も事件に介入。
もちろん、彼は、公の人なので、
親友の忘れ形見だからといって、捜査に手加減はしません。
普通、依頼人は死んだんですから、
探偵は、手を引くところですが、
故人の意思を尊重したいということで、
勝手に捜査を始めてしまいます。😮
探偵は、ノリ気です。
もともと、探偵活動に憧れていたようです。
正義感と、好奇心。頭脳明晰さ。
多少、鼻につくキャラです。
そのうち、次男が心を開き始め、
探偵にいろいろ、打ち明けます。
C家にいるのは、
被害者の長男、次男、長女。義母。姪と甥。
ところで、この探偵、
第3の事件が起きた午前中に、
急用ができて、
探偵活動を撤収。
いちおう親友に事後を託して、
東京に引き上げてしまいます。
あららら。そんな〜
書生が探偵の仕事を引き継ぎ、
犯人を指名します。
メデタシ、メデタシ。
でも、もう一幕ありました。
最後に、石狩検事が、
すべてにカタがついた後、
事件を補足します。
モヤモヤがあったようです。
なにしろ、この石狩検事も、
出しゃばり探偵に負けないくらい、
物知り。
特に、般若の能面や古典芸能に関する知識が豊富で、
探偵や書生とは
別の切り口で、独自に事件を考察します。
最後にC家は炎上します。
そして、
誰もいなくなります。
