こんばんは。
松本清張の、「点と線」と並び称される代表作
「砂の器」。
意味的には、砂上の楼閣。
英語でのタイトルは、
inspector IMANISHI
調査員・今西。
典型的な昭和のくたびれたノンキャリア刑事。
この刑事の執念がスゴイ!!
京浜東北線・蒲田駅で、
明け方、操車係が顔を血まみれに潰された初老の男性の遺体を発見。
蒲田は、東急池上線も走っていて、
私が高校生のころ池上線沿線に住んでいたので、
蒲田に沢山いる同級生と遊んだものです。
なので、蒲田が出てきたので
「オッ!?」と思いました。
これは余談。
で、被害者は前夜、蒲田駅近くのトリスバーで、
東北のズーズー訛りで、
向かい合った男性と何やら親密な話をしていたと、店の女が証言。
つまり、最後に被害者と話をしていた男性客が怪しい事になります。
聞こえてきた会話が
「最近、カメダはどうですか?」
カメダ‥
手がかりはこれだけ。
2人の共通の知り合い、亀田さん。
雲をつかむ話です。
被害者の身元は、岡山県で巡査をしている人。
温厚でとても評判のいい人。
カメダで頓挫した今西チーム。
被害者の周辺にカメダなる人物はいませんでした。
随分経ったころ、もしかして、カメダは人物ではなく、地名ではないか?
と考えます。
たまたま時刻表を見たとき、秋田に「羽後亀田」という駅名があることを発見。
今西は、羽越線の亀田を目指します。🚃
おおー!
羽後亀田は、私の母方の田舎、羽後本荘の近く!
何という偶然!
すみません、勝手に盛り上がりましたが、
羽後亀田は、本命ではありませんでした。
今西は、山陰の出雲地方に、ズーズー弁訛りが残っていることを国語学者の論文から発見。
しかも、木次線に「亀嵩」かめだけという駅があることがわかり、こちらこそが本命になるわけです。
被害者と加害者の共通項。
それは出雲の「亀嵩」。
この作品は、松本清張というより、
昭和の時代を語る代表作品として、
あなたに原作はもちろん、映画も観ていただきたいです。
最近では、SMAPの中居正広が和賀目線で主役を演じた連ドラがあります。
連ドラは、かなり詳しくやるので、
映画には余裕がなくて登場できなかった関川
という新進気鋭の犯人のライバルも描かれます。
映画は映画、
原作は原作で、
多少、コンセプトの違いはありますが、
どちらも素晴らしい。
人間の証明と似ていますね。
被害者のダイイングメッセージ。
執念の刑事。
戦争による昭和の暗さ。
過去を消したい犯人の必死な想い
犯人の、努力で手に入れた輝かしい栄光が、
昔の身分がわかった途端、失うであろう恐怖。
そのためには、
息子だろうが、恩人だろうが‥‥
エゴですが、
被害者にも落ち度があるのでは?
いい人は、自分が親切なことを知っているし、
善良で善意の固まり。
ですが、それが
メイワク以外の何物でもないことに、何故気づけなかったのか?
昔を捨てて、昇りつめた人が、
古傷を知っている人に声をかけられて、
本当に嬉しいでしょうか?
悪気は無くても、
被害者は加害者でもあるのでは、
と、無念でなりません。
砂の器は、すごいボリュームです。
これは氷山の一角です。