こんばんは。
死後も本屋の文庫本コーナーに沢山の作品が並び、NHK教育のテキストにもなった松本清張氏。
日本のシェイクスピアですね。
社会派推理というけれど、
純粋な推理小説は一部分に過ぎません。
「風の視線」は、完全なる恋愛小説。
最初に買った松本清張作品なだけに、
推理作家としてのイメージが、ガラガラと音を立てて崩れていきました。
テキストにも載ってますが
「点と線」と並び称される「砂の器」。
これを読んだのは、三十歳以降です。
動機が、
ライ病患者である事を隠すため、というのが、
非常に気になっていつかは読もうと思ってました。
関ヶ原の合戦で、西軍の石田三成に加担する武将・大谷吉継が
ライ病に罹患しており、
馬に乗れないから、家来に輿を担がせて戦いました。
ライ病‥恐ろしい病気
というのがイメージにありました。
それで「砂の器」は、期待値がものすごく高くなりました。
読んだ感想は、大して面白くなかった‥
理由は、最初からライ病にばかり意識がいって、
それ以外のことは、どうでもよかった。
肝心のライ病については、本書もラストスパートに入ってから。
上・下巻の作品でしたので、上巻は退屈で‥。
早くライ病を!(笑)。
蒲田駅で、顔を潰された死体が発見され、
天才ピアニスト和賀が怪しい、とされたことくらいしか記憶になく‥。
ところが、さらに10年後、再び第三次松本清張マイブームが訪れ、(笑)
改めて再読。
いやあ、これはスゴイ!
10年前に読んだのと、別作品ではないか、
と思えるくらい、ハマってしまいました。
10年前は、飛ばし読みをしたので。実は上巻こそが本当に面白かった。
ホントに別作品です。
「羽後亀田」が出てきた時点で、
ヤバい、ちゃんと読んでなかったわ‥。
なぜなら、本編に出てくる「羽後亀田」駅は、
母方の田舎「羽後本荘」に近いからです。
ホントに読んでたら、
面白く感じないわけないのです。
まるで、自分の名前が呼ばれたようでした。
他にも、日本語の訛りの問題で、
被害者は出雲に住んでる人でしたが、
出雲のある地域では、東北弁と似たズーズー弁が話されるとも。
こんな面白い展開を、読んでたら、印象に残るはず。
まるで、初めて読んだのと一緒でした。記憶にないことばかり。
そもそも、犯人が誰か、もわからなかった。
さらに、展開は面白くなります。
主人公の刑事はノンキャリアの匂いが濃厚に漂ってます。
点と線の鳥飼刑事と一緒。
今西刑事の執念すぎる捜査。
秋田に島根、最終的には北陸の山中温泉が♨️出てきて、
日本海側地名のオンパレード。
共感が湧きます。
映画をすぐ借りて見ました。
最終的に
出雲の出雲大社に旅行したついでに、
木次線(きすきせん)に乗って「亀嵩」まで、行ったという好き者ぶり。
私の中では完全に
点と線を逆転しました。
あさっての九州より、
母方の田舎のほうが全然身近なわけです。
何で10年前、面白くなく感じたのか、
読み飛ばしたのが不思議なくらいです。
多分、ライ病の動機がわかればいい、
という感覚だったのでしょう。
これを機に、過去に読んだ本も、
再読することに。
最も、再読と言っても、過去に読んだ作品が
少なかったので、
気持ち的にラクでした。
順位を付けるつもりはありませんが、
人に勧めるとしたら、砂の器は、
ベスト5に入ります。
映画も素晴らしい。
個人的には、
田村正和が演じた和賀が、
一番しっくりきました。
イメージにぴったりです。