こんばんは。

松本清張ミステリー案内人・稲葉の白兎です。
本年も、ミステリーをバンバン紹介していきますのでよろしくお願いします。

青学4連覇冷めやらぬ1月5日ですが、

青学出身の社会派ミステリー作家の代表に、
「人間の証明」で有名な森村誠一氏がいらっしゃいます。

ポスト・松本清張の呼び声高い人であります。
沢山の社会派ミステリーを世に送り出し、
映画、テレビなど映像化された作品も多いです。

私も一時期、大量に作品を読み込んだ時期があります。

「高層の死角」で江戸川乱歩賞を受賞した森村氏ですが、受賞パーティーで、松本清張さんに冷たくされた、というエピソードを、
エッセイで読んだことあります。

本人は理由に心当たりがないと言ってますが、
もしかして、青学出身という肩書きが、清張氏をイラッとさせたのかもしれません。(笑)

清張さんは、家が途轍もなく貧乏で、
15、6歳の頃には、一家を支えるべく働いていたそうで、自分には青春時代というものがまるでなかった、と述懐しています。
印刷会社の次に朝日新聞西部支社の版下工として働き、そこで、学歴がないことで随分イヤな思いをさせられたそうです。
そんな清張氏の前に、キラキラ青学出身の乱歩賞作家が現れたわけですから、
コメントも冷たくなろうではありませんか⁈
これは、わたくしの勝手な揣摩臆測ですが‥。

氏は、同学院の山岳部に籍を置き、ヒマさえあれば、山に登ったとのこと。
多分に硬派な山岳部と思われます。
氏のミステリーには、山を扱ったものが、それこそ山ほどあります。

未曾有の就職難で、就職先は、ホテルしかなかったということで、ホテル・ニューオオタニにフロントマンとして就職。

縁あって作家デビュー。その数年後1969年に江戸川乱歩賞受賞。
その受賞パーティーで松本清張氏の冷ややかというか、本人いわく完全無視されたそうです。

その後、森村氏も負けてはおらず、

清張さんの映画作品の中で、あるホテルのフロントのシーンがおかしいと本人に指摘。

取材魔である清張さんは、そこだけは謙虚に、
それは、どこでどこがおかしいのか、自分から説明を聞いたそうです。

自分は清張さんを尊敬しているのに、清張さんは、僕に対して暖かいことはなかった、だから、こちらもなんとなく敬遠するしかなかった、
と多少恨み節が混じっております。

森村氏は旧陸軍731部隊の所業を掘り下げたノンフィクション「悪魔の飽食」を発表し、話題を呼びました。
これにショックを受けたのか、
清張さんは出入りの記者に、
そんなネタをどうして教えなかった!と叱ったそう。

私も、ぜひ、清張が暴く旧陸軍のそれも731部隊に関する作品を読みたかったです。

森村誠一は、
初期の作品は必ずホテルか山が出てきます(笑)。


その中でも強烈なのが
短編ですが

「醜い高峰」。

これが、実に松本清張的。
要するにイヤな奴が過半数登場する話。

山男に悪い奴はいない、の定説を
見事にくつがえし、

山は人の本性が丸出しになる

という、実にブラック感溢れる一品。

明日、ご紹介します