こんばんは。

ご愛読ありがとうございます。
松本清張ミステリー案内人・稲葉の白兎です。

巨匠エラリー・クイーンの作品は、主に3つのジャンルに分けられます。
⑴クイーン警視親子が出てくる国名シリーズ。
例「オランダ靴の謎」「ローマ帽子の謎」。

⑵X、Y、Zの悲劇三部作。
⑶それ以外。(笑)。

悲劇シリーズの探偵は
元シェイクスピア俳優ドルリー・レーン。

まずはXの悲劇で、颯爽としたデビューを飾ります。

サム警部とブルーノ検事とで仲良し三人組を形成。

Yの悲劇も、それに検屍医のシリングが加わって四人組になります。
この作品は、キャラが内部も外部も立っているので、読みやすい作品です。

それは、フジテレビで土曜の夜に連ドラ化されたことでも明らか。

主演は若き日の石坂浩二。ドルリー・レーン役です。
日本語名では、南郷猟治とか、そんな名前でした。
TVドラマの方が原作より要点を押さえてスッキリしています。

原作は、半端じゃない登場人物のかず。
使用人だけでも沢山います。
ハッター家、及び矢ヶ崎家の家族以外での主要人物は、
主治医、長男の仕事仲間、弁護士兼次女の友人、隣人の元船長。

他に住み込みの家庭教師もいます。

一家のあるじが化学者という事もあり、薬品・毒物が複数出てきます。

ストリキニーネ、硫酸、硝酸、塩化第二水銀、硫化水素、ペルーバルサム、フイゾスチグミン等。

殺人の凶器は、鍵のかかるガラスケースに収められた木製の楽器。TVと原作で違います。
この際、マンドリンでもバラライカでも同じ事です。
この奇妙な凶器も、謎に満ちています。
なんていうか、凶器にふさわしくないの、一言。
選ばれた理由は何なのか?

犯人の最大のミスは、遂行後、被害者の隣で寝ていた人物に、触られたことです。

幸い、その人物は三重苦ということで、決定的な目撃者ではありません。

ハッター家の人は、健康か精神のいずれかを病んでいます。
三重苦の女性は、その異常過ぎる障害以外は、
誰よりも前向きで健全な心の持ち主でした。

逆に言うと、彼女以外は皆、どこか正常とは言い難いものがあります。


「私の証言は役に立ちますか? 私は役に立ちたいのです!」
のセリフは感動的ですらあります。
ハムレット俳優レーンは言います。
「役に立ちますとも!  役に立たないでどうします」

実はレーン氏も障害者です。
聴覚障害。
耳が聞こえないのです。
そのため、舞台引退を余儀なくされたのです。
彼の付き人、クエイシーは、メーキャップの達人です。

さて、この探偵、最後に怪しい行動を取ります。

事故に見せかけて、犯人を抹殺した気配が濃厚です。