こんばんは。

古典本格ミステリ作家第一人者、あるいは巨匠であるエラリー・クイーン。
わが松本清張氏も、作風に接点はないですが、
一目置いていたようです。

「Yの悲劇」は、アメリカ版「犬神家の一族」。
富豪のお屋敷が出てきます。
遺言状が出てきます。

私は、実は、犯人の名前と、そのポジションを偶然知ってしまっていたので、読む価値がないと思っていました。小学校高学年の時です。

そしてしばらく経って、中学生になった時、
「Yの悲劇」がテレビで連続ドラマ化されることを知り、観ることになりました。
外国の話ですが、石坂浩二主演で、日本版にアレンジするのです。
出演者は他に、故・夏目雅子、八千草薫。


推理ドラマを毎週土曜6回連続ですから、
いかに、テレビ局がチカラを入れていたかがわかります。

当時、横溝正史大ブームで、TBSで連ドラシリーズをやってましたし、その後森村誠一の社会派推理「証明シリーズ」も始まりました。
その最中でのフジTV「Yの悲劇」です。


日本版にアレンジされていても第一回の放送で
犯人は当然、誰だかわかっています。
まさか、という半信半疑もありましたが、
まずは確実でした。
だから、観るのは退屈なものがありましたが、
ある役者さんの演技が素晴らしくて、最後まで観ることになりました。

放送ごとにサブタイトルがつきますが、
それが、これ。
第1話
第2話
第3話‥復讐の遺言状
第4話‥死者はよみがえる
第5話‥ついに真犯人が‥!
第6話‥恐るべき結末

注目すべきは第4話。
「死者はよみがえる」

昨日のブログを読んだかたはご存知ですね。
意味とかも。

死んだはずの人物が書いた推理小説の筋書が、実験室にある暖炉の1つのレンガをどけると、その奥に突っ込んでありました。
レポート用氏数枚です。


現在矢ヶ崎家で起こっている事件が、まさにその筋書きに書いてあることでした。

毒殺未遂、殺人、毒殺未遂、火事‥

理由はわかりませんが、かなり忠実に、犯人は実行していたのです。

ドラマの一番最初に、海上の溺死体が登場し、それが名門矢ヶ崎家の主人・弥太郎と断定され、自殺、として処理されました。
そこから、物語はスタートしますが、

探偵ならずとも、

もしかして、Yは生きているのか⁈

と疑うところです。

海から引き上げられた溺死体は、遺書があるとはいえ、
損傷が激しく顔の判別ができませんでした。
Yはひょっとして生きており、もしかしたら犯人かもしれないと視聴者に思わせたところで
「つづく」。
という回でした。
この全体のドラマの中で一番のピークとなるエピソードです。

他には、「遺言状」が出てきます。
犬神家に似ています。

誰が死んだ時、誰には何パーセント、かれには何パーセント、といったふうに、
かなりめんどくさい遺言状です。
そして、犬神家の珠代さんのように、
ある人物が、いついかなるときも徳をするようになってました。

ドラマの最終回は、予想しなかった事が起き、
最後まで意味がわからず、
わけがわからないシーンがありました。

石坂浩二は、犯人を特定するに至った過程を、
説明し、私はその推理に唸ってしまいました。


その推理とは別に、石坂浩二探偵の不可解な行動が気になって、原作に手を伸ばしました。

これが、原作を読むきっかけでした。

テレビの3倍くらい推理シーンが出てきて、
そのロジックたるや、数学の証明問題そのもので「脱帽」としか、言いようがありませんでした。