こんにちは。
「犬神家の一族」「悪魔の手毬唄」「獄門島」
など、
横溝ワールドは
旧家・因習・血筋のアイテムで
できております。
そこにオカルト的なもので装飾しています。
特に血筋が必須。
乱歩もオカルト満載でしたが、
血筋に関しては、
ほぼこだわりを持ってませんし、それが問題となる作品は少数。
大暗室、暗黒星、魔術師ぐらいしか思いつきません。
八つ墓村も、血筋が非常に大きな割合を占めています。
昨日までただの平凡なサラリーマンの
主人公・寺田辰弥は、背中の火傷の跡から、多治見要蔵の忘れ形見と認められ、全ての財産を引き継ぐ権利を持つことになります。
多治見家の当主、多治見要蔵は、異常性格で、
正妻がいるのに、よその女の人に横恋慕して、
これを強引に屋敷に監禁。
そんな横暴も村の実力者だからできること。
村人、警察、識者、とにかくみんな見て見ぬ振り。要蔵に意見できる人はいません。
屋敷で、その女、鶴子は、辰弥を出産。
最初は大喜びの要蔵も、なんとなく自分の子供ではないような気がして、幼い辰弥に激しい折檻を加えます。
要蔵はその後、村人を32人を殺害するという暴挙を起こします。
大規模な山狩りが行われましたが、
ついぞ行方不明。
鶴子親子は東京に避難。
さて、要蔵が消えたことで、多治見家の当主は死んだ正妻の息子の久弥に代替わりします。
しかし、久弥は病気持ちで寝込み、明日をも知れぬ命。
是が非でも多治見家の莫大な財産を相続する当主を立てたい多治見家の大御所・小梅と小竹。
久弥の妹の春代は女でもあるし、病弱。
このまま、久弥が死ねば、多治見家はどうなるかわかりません。
ということで、東京にいる辰弥に白羽の矢が立ったのです。
代理人に導かれるまま、八つ墓村入りした辰弥は、八つ墓村伝説に取り憑かれている村人から、奇異と憎しみの視線に遭いますが、
多治見家の人間からは、とりあえず歓迎されます。
久弥と双子の老婆からは、こんな男前は多治見には珍しいと皮肉を言われ、
春代からは、ストレートに、来てくれて嬉しい、
ずっとここにいて欲しいと好意を示されます。
春代も、辰弥が持っている鍾乳洞の地図らしき紙を所有して、二枚合わせて一つの地図の完成版になっていました。
それにしても、この4人の反応は、弟や孫を迎えるというより、なんとなく他人行儀ではありませんか?
例の凶々しいハガキを送った主は、他ならぬ犯人でした。
犯人は、多治見家の財産を狙っており、
辰弥の帰郷は、要蔵を恨む村人以上に犯人にとって、招かれざる客だったのです。
直系の跡継ぎがいなければ、ある人物に、自動的に法定相続人として財産が行くようになってました。
辰弥は側室の子。歴史上の人物で言うと豊臣家の秀頼のような大事な存在だったわけです。
しかし、財産目当てと金田一が推理したのは、後の話。
落ち武者いらない、要蔵の大量殺人いらない、
八つ墓村伝説いらない、狂信いらない、
冷静に、辰弥の帰郷が決まってからの、連続殺人で、誰が得をしたか、誰が損をしたかを考えれば、犯人の狙いがわかってくるという話です。