こんばんは。

今夜もやってきました、ミステリーの時間です。

ミステリーブームです。
ミステリーの用語が幅広いのと、人気のジャンルとして、市民権を得たということで、大きな本屋さんに行けば、新しいミステリー本が山と積まれていますね。

私のミステリー原点である、江戸川乱歩と同時期に出会った偉大な作品があります。

その偉大なる作品は
横溝正史の「八つ墓村」です。
漫画でしたが、

今さら、漫画だろうが、映画だろうが、原作だろうが、八つ墓村の偉大さは変わりません。

巨匠、横溝正史に最初に触れた作品です。

横溝正史こそ、乱歩と並ぶ日本の本格推理小説界の先駆者、ミステリーの先駆者であります。

清張と乱歩は似てませんが、乱歩と横溝は似ています。
本格を扱っていること、名探偵が登場すること、
オカルトの雰囲気を出していること。


怪奇、猟奇、狂気が乱歩なら

横溝は
旧家、因習、血筋、です。

その顕著なのが「八つ墓村」で、
「たたりじゃ〜」は流行語になりました。
今では、パロディに使われていますね。

漫画と言えど、決して、とっつき易くはありませんでしたよ。だいたい、タイトルからして
「なんじゃ、こりゃ〜〜⁉︎」

何しろゴルゴ13ばりの絵で、字がたくさん!
ひとコマに何個の漢字が登場するんだよ、というくらい、漫画にしては、ハードル高すぎ。


小学生が読むには、怯んでしまいます。
最初の印象が、
「わあ、無理!」

なんとか読めたのは、主人公の多治見辰弥が、
平凡な25、6才の若いサラリーマンだったこと。

話が、冒険モノ風だったことですね。

東京で一人暮らしをしている、この平凡な青年に、奇妙なハガキと、弁護士からの依頼が来ました。

弁護士の依頼は、辰弥さんは、八つ墓村の、旧家の跡取りとして、相続人の権利があるから、至急村に帰ってきてほしいとのこと。
それについては、代理人をよこす、と。
もう一つのハガキは、なんともおどろおどろしい、毛筆で、「お前が村に帰ると悲劇が起こるから、絶対に来るな!!」
といった、まがまがしい内容の文面。
「血の雨が降る!」とか、そんなことが書いてありました。

辰弥は、母親だけに育てられ、
子供の時に母を亡くし、自分でも詳しい身の上を知りませんでした。
ただ、母親からもらったお守り袋の中に、筆で描かれた、妙な地図が入っていました。
これは将来、お前の役に立つから、みだりに人に見せたり、失くしたりしないように、と念を押されていたのです。

この地図こそ、八つ墓村にある鍾乳洞の地図でした。

しかし、漫画の最初は、
辰弥の話ではなく、「尼子」という、とある中国地方の大名の郎党が出てくるのです。
この尼子の8人の武士が、とある村に負け戦で落ち延びてきました。
村にかくまわれましたが、日ごとに、毛利側の詮議が厳しくなって、村人は8人を殺してしまおうという話になりました。
詮議と言えば聞こえはいいけど、恩賞に目が眩んだ、というのが真相。
殺された8人は、断末魔に「末代まで、祟ってやる」と呪いの言葉を村人に吐いて死にました。
村には、やがて、良くないことが起こりました。

村人は落ち武者の祟りだと恐れ、これを鎮めるために、お墓を作りました。
それが、八つ墓村の始まり。
漫画の冒頭にこの伝説のプロローグが出てきました。

いやぁ、この落ち武者たちの絵が怖かったのなんのって‥‥。