こんばんは。
江戸川乱歩の、ユスリ稼業の主人公・「影男」。
名前は速水荘吉、綿貫清二、鮎沢健一郎、殿村啓介、佐川春泥など、役所により変幻自在。
ある時、己の犯罪が、殺人請負会社社長・須原正の知れるところとなり、顧問にならないかと誘われます。
ある富豪からの依頼がきていて、条件が難しいものだから、是非、影男の知恵を授けてもらいたいとのこと。
条件その他は、別な場所、観覧車の中で聞きます。成金社長の愛人への残酷な復讐劇です。
影男はすぐさまアイディアを提供。
実行役は別な人で、女性幹部社員が、愛人のおびき出し役などをやります。
影男はその場面を見てもいないし、実行には一切加わってないのですが、なんとなく後味が悪くなって、須原たちと距離を置くようになりました。
そして、遊蕩児・殿村啓介の顔で、
銀座のキャバレーで憂さをを晴らします。
そんな中、ある紳士と知り合います。
入場料50万円の、秘密の見世物に誘います。
ディズニーランドよりも刺激的で、よくできた人工美の見世物です。
制作費もさることながら、この見世物の真髄は
「恋人〇〇引受け業」にありました。
これには、百戦錬磨の影男も呆れるしかありません。
殺人請負業に、〇〇事業。
影男の周りは、バラエティーに富んだ犯罪業者の集まりです。
この、第三の男が現れた時点で、影男の影は薄まりました。
須原の影男評
「あれは恐ろしい男です。名前を5つも6つも持っていて、自分では悪事を働きませんが、犯罪者をゆすって、その上前をはねるという凄い男です。世の中の裏側を探検して莫大な金を儲け、それを材料にして、一つの変名で小説まで書いているのです。まず、天才でしょうかね。
実は私の会社も、あの男の知恵を借りて仕事をしたことがあるのです。復讐殺人でした。
あの男はその案を授けておきながら、こんな残酷なことは嫌だと言って、我々から離れていきました。惜しいことに、真の悪人ではないのですね」
これは、また次の依頼人・嫉妬深い成金社長の前で言ったセリフです。
そして、影男に助けてもらった社長夫人が
「‥‥困ったわね。命を助けてくれた人が、まともな世渡りをしていないなんて」