こんばんは。

松本清張と江戸川乱歩‥

作品的にも、まったく接点がないようですが、それは私の完全なる思い込みでした。

国会図書館で調べたところ、
「乱歩と清張」という本があることが発覚。
それは、また調べておきます。
保証はできませんが。

で、「影男」です。
「大暗室」という作品がこの世になければ、この作品の評価は、人気は高かったのではないか、
と思い込むほどに、私は影男が大好きなんであります。

影男のキャラが、生き様が好き。
ただのゆすり屋ではないところですね。
現代のオレオレ詐偽の木っ端犯罪とは違う、スケールを感じますし、影男がゆするのは、ハゲでデブの成金社長で、弱い人には手を出しません。弱い人には優しいのです。
変名で小説を書いているのも魅力。
多少、ナルシストなんでしょうが、余裕を感じます。
ゆすりのテクニックもオリジナルのもので、
創意工夫ハンパないし、ポリシーを感じます。

ああ、それなのに、もっとすごい犯罪者が現れます。イヤな予感。
邪の道はヘビ。影男の犯罪を、小説を読んで見抜き、その小説のアイディアをパクったこともある
殺人事務所の所長、須原正。

剃刀のように鋭い男というのが影男から見た第一印象。

もっとも油断したら最後のような、職業ですから、当然でしょうけど。

事務所を開いてわずか一年で6件の案件を手がけ、数千万の報酬を得たというのです。

時代の問題があるので、ゼロを1つ、付け加えなくてはなりません。
6件だから、6人をあの世に送ったと単純に思いたいところですが、31人だそうです。
公的な乗り物に乗ったターゲットを始末したので、関係ない24人が犠牲になったケースもあるのです。

須原の仲間の所員は全部で3人。

須原はなぜ影男を顧問に誘ったのか?

報酬は全体の4分の1という破格の待遇です。

会社が繁盛して、つまり依頼人が増えて、3人ではさばききれなくなった。と須原は言います。
が、本当のところは、影男の所有している古井戸を使いたいのではないか?
あるいは、顧問と言いつつ、暗に影男を囲い込み、恐喝してるとも言えます。

影男は須原を試したいのか、話に乗ってきます。

その日は、仲間になると約束を取り交わしただけで終わります。

そして、事務所に持ち込まれたクライアントの依頼内容は、遊園地の観覧車の中で話されました。

このある、金持ちの依頼人が出す報酬は500万円。あ、これにもゼロが1つ必要です。
時価が違いますから。

つまり、アイディアを提供するだけで、影男には一千万円の実入りがあるのです。

須原は影男が裏切るようなマネをしたら、即座にこの世から消してしまうと、釘を刺しました。
実に須原は用心深い男なのです。

クライアントはまだ40歳になったばかりの、ハゲでデブの成金社長。妻以外に愛人がいます。
その美人の愛人がコッソリ若い男とひっついていたあげく、手当てをその若い男に貢いでいたのが発覚し、許せないので、始末してほしいと。
殺したいのは男ではなく、自分の愛人です。

なんか、イヤ〜な依頼人ですね。
でも、事務所には大事なお客さんです。
これ以外に、もっとイヤ〜な条件を出します。
その条件が難しいので、須原は影男の知恵を借りたい、というのが、どうやら本音のようでした。